仕事ができない人は「たった一言」が添えられない

ビジネスシーンで差をつける「気の利いた一言」をご紹介します(写真:mits/PIXTA)
「ビジネスにおける正しい言葉遣いができていなければ、思わぬところでつまずく可能性があります。ただし、『正しい』だけでは他の人と差がつきません。『正しさ』+『気の利いた一言』があって初めて、深い信頼関係が築けるのです」
そう語るのは、著書累計75万部超えのマナー講師である諏内えみ氏。本稿では、『一生ものの「正しい敬語と上級の気遣い」 先生!ダメダメな私を2時間で仕事デキる風にしてください!』より一部抜粋・再構成してお届け。「ビジネスで差をつける気の利いた一言」を伝授します。
 

何について、どう感謝しているかを伝える

ビジネス用語という言葉があるように、ビジネスにおける定型句・常套句は知っておいて損はありません。ですが、ビジネス用語だけを使ってやりとりしていると、「心がない」「センスがない」と思われてしまいます。
常識的な言葉遣いをしつつも、自分らしさや相手への思いやりをにじませる気の利いた一言を付け加えたいものです。

ビジネスで頻繁に使う言葉の一つが「ありがとうございます」。そこに気の利いた一言をプラスすることで、真摯な感謝の気持ちが伝わり、良好な関係性を築くことができるのです。

上司から仕事の進め方などについて説明を受けた時、「ありがとうございます」だけでは表面的に聞こえることがあるので、「よく理解できました。丁寧にご説明いただき、ありがとうございました」と言いましょう。「よく理解できました」は「かしこまりました」「承知いたしました」と言い換えてもOKです。

そして、「丁寧にご説明いただき」という気の利いた一言は上司の心遣いに報いることになり、上司は「わかってくれた」と感じることでしょう。

また、上司にミスをフォローしてもらった時は、「○○部長がフォローしてくださり、救われました。今後はご迷惑をおかけしないよう努めます」と言います。つい、「お手数をおかけして、すみませんでした」と謝りがちですが、ここは謝罪よりも感謝の気持ちを伝えるべき場面です。

「助かりました」は少しラフな印象になるので、この場合は「救われました」と恩義を感じる言葉を選びます。このように、微妙な温度差のある言葉を使いこなすのも、ビジネス会話では重要です。

もう一つ、お礼を言うタイミングとして、上司にごちそうしてもらった時があります。「ごちそうさまでした。ありがとうございました」だけでは、あまりに子どもっぽいですね。ここで気の利いた一言を付け加えるとしたら、具体的な感想です。

「○○が濃厚でとてもおいしかったです」

「△△のスープは珍しくて、貴重な体験でした」

「デザートの□□は初めていただいたので、感激でした」

というように、その日のメニューで印象に残った点に言及します。ポイントは、「何が」「どのように」よかったかを盛り込むこと。「○○がおいしかったです」では、気の利いた一言になりません。

具体的な感想とともにお礼を言う癖をつけておくと、食事以外にもさまざまな場面で役に立ちます。

チャレンジ精神と意欲を見せる一言を

入社して年数が浅い場合、先輩や上司に質問する頻度は自ずと高くなります。わからないことを聞くのは悪いことではありません。誰にも聞かず、自分の判断で進めたことでトラブルになってしまったら元も子もないので、ミスなく確実に進めるためには積極的に質問することが必要です。

しかし、「○○について、どのようにしたらよろしいでしょうか?」と丸投げするのは、新人気分が抜けないようでいただけません。ただ聞くのではなく、「自分なりにこのように考えてみたのですが、いかがでしょうか」と、 “相談”という形で質問するのが気の利いたやり方です。