「面白い人」だけが知る誰もが使える笑いの法則

面白いことを見つけて人一倍よく笑い、笑いの構造を理解してトレーニングすれば、誰でも「面白い人」になれます(写真:mits/PIXTA)
日本の企業はなによりも「真面目」であることを大切にする。ところが、それとは対照的に、アップルやピクサー、グーグルのような企業は、なによりも「ユーモア」を大切にすることで、大きく成長している。スタンフォード大学ビジネススクール教授のジェニファー・アーカー氏と、同校講師でエグゼクティブ・コーチのナオミ・バグドナス氏によれば、ユーモアにあふれる職場は心理的安全性をもたらし、信頼関係を築き、社員のやる気を高め、創造性を育むという。今回、日本語版が9月に刊行された『ユーモアは最強の武器である:スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』について、『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』の著者の中北朋宏氏に話を聞いた。3回にわたってお届けする(第1回はこちら)。

笑わせるためには、よく笑え

『ユーモアは最強の武器である: スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

『ユーモアは最強の武器である:スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』には、プロのコメディアンのテクニックが解説されていますが、「ミスディレクション」「緊張と緩和」「予想と出来事の不調和」などのテクニックは、日本でもアメリカでもまったく同じです。

笑いは、コミュニケーションです。受信と発信という2つの切り口があり、人の話をどう聞くか、どう面白いことを言うかの2つがそろわなければ笑いは起きません。

重要なことは、本書に書かれているような、陽気な場づくりです。普段、社内でまったく笑わない、苦虫を噛み潰したような怖い顔の「苦虫おじさん」が、急に面白そうなことを言っても、笑いづらいですよね。つまり、「いつもよく笑っている人」「冗談が通じる人」という前提が必要なのです。

実際、面白い人ほど、誰かの言っていることでよく笑います。お笑い番組を見ていると、松本人志さんや、有吉弘行さんは、人一倍よく笑っています。人の面白さに気が付く、面白がる才能があるということだと思いますね。

「面白くなる」ということは、信頼関係を構築するということでもあります。ですから、自分がなにか面白いことを言おうとする前に、誰かの面白いところを見つけて、楽しく笑ってあげるということが大切です。

職場でよく笑い、自己開示をして、関係構築をしてから、笑いのスキルを身に付けていくほうがいいでしょう。

「最近、面白くなる練習をしているんだ」ということを、そのまま言ってしまうのもいいですね。その発言自体が面白いですし、周囲の人に対する自己開示になります。

笑いの基本構造を知ろう

発信していくにあたっては、笑いの構造を理解しているとやりやすくなります。

緊張した場面から緩和させると、ギャップによって笑いが起きるという「緊張と緩和」が笑いの構造の根本なのですが、プロはこれを「フリ・オチ」と呼びます。

「フリ」とは、いわゆる共通認識のことです。例えば、お坊さんが登場すると、大体どんなことを言う人かという共通認識が「フリ」としてみんなの中に浮かびますよね。

ところがそのお坊さんが、「メリークリスマス!」と、みんなが思っていたのと違うセリフをミスディレクション的に言うと、笑いが起きやすくなるというわけです。

トークの構造を知ることも重要です。例えば、『すべらない話』などは、最初に「つかみ」があり、「フリ」によって共通認識を持たせたあと、真逆のことを言って落とし、すべった時のために、もう1つの「オチ」を用意しておくという2段構造になっています。