初対面でも「すぐ懐に入れる人」がしている3つの技

食品サンプルをタダでもらったときに、なんとなく罪悪感が湧いて「こちらも何かを返さなければならないのではないか?」と思う人もいるでしょう。同じように、人間は何かをもらったらお返ししたいと思うという精神性があるのです。これを利用すると、相手から欲しい情報を得ることがやりやすくなります。

学生時代のことや趣味などを話してみる

例えば、相手の趣味を知りたいと思ったときに、「趣味はなんですか」とストレートに聞いても「ええと…読書ですかね」と硬い回答になってしまうことがあります。

ですが、「自分は最近こういうアニメにハマっているんだよね。漫画とかアニメとかを見ますか」と聞いたら「あ、自分はこういう漫画が好きで……」とより具体的で踏み込んだ回答が返ってくることがあります。このように、自分が自己開示するときに、相手に聞きたいことを交ぜておくと、相手も自己開示してくれやすくなるのです。

だから、まずは仕事の内容以外の自己開示をすることです。学生時代のことや趣味とか、価値観などを含めて伝えることができると、相手も自己開示をしやすくなります。

ちょっと難しいかもしれませんが、人生でどんな失敗をしたのかとか、会社に入ってちょっとつらくなった経験なんかを語ると、「自分もこういうことがありました」と開示してくれることがあります。

「相手から聞きたい情報があるなら、まずは自分がそれを伝えてみる」というテクニック、非常におすすめです。

②相手が自分に対して期待できる状況を作る

次に心がけるべきことは、「自分の利用方法を相手に考えやすくする」ということです。人間は、相手に利用価値があると感じてくれれば、勝手に質問をしてくれるようになります。しかし逆に、「この人と話してもなんの意味もないな」と思われてしまったら、その時間は地獄と化してしまいます。

ただ、「自分はすごい」ということを語る必要はまったくありません。「すごい人アピール」をするとウザいと思われてしまったり、「この人は自分とは違う世界の人で、質問しても何も得られない」と思われてしまったりする場合があります。これはとてももったいないので、できることならば避けたほうがいいでしょう。

自分のやってきたことを丁寧に説明する

すごいアピールをしなくても、簡単に自分の利用価値を相手に伝えることはできます。自身のキャリアと行ってきた業務説明を、できるかぎり丁寧に行えばいいのです。

「20代のころに、BtoB向けのSaaS(インターネット経由で利用できるソフト)商品を100店舗規模の飲食チェーンに対して営業してきました。本部の経営企画室、営業部長だけでなく、現場の店長とも対峙しながら導入の推進を行いました」

こんなふうに語ると、例えば「あ、自分も飲食チェーン向けに営業しているけど苦戦しているから聞いてみようかな」と思ってもらえるかもしれません。このようにして、利用価値を明確にするために、自分のキャリアを明示していくのです。

③共感ポイントを作る

3つ目は、共感ポイントを作ることです。心理的ハードルを下げるためには、「相手も同じ人間なんだ」と思ってもらえることが重要なのです。

『部下のやる気はいらない 「一歩踏み出す」からはじめるコーチング』(日本能率協会マネジメントセンター)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

やはり話が盛り上がるのは、「え、あのバンドの曲が好きなんですか」といった相手との共通点が見えたときですよね。今までしかめっ面をしていたような人でも、共通点が見つかった瞬間に顔つきが変わる、なんてことはよくある話です。

だからとにかく、共通点にできるようなこと、例えば出身地や出身校、学生時代の部活やサークル、バイト、趣味などの話をしてみてください。

また、基本的なプロフィールの説明で共感ポイントを作るのはもちろんのこと、挫折した経験などもシェアするといいでしょう。

失敗やうまくいかなかった話にも、大きな価値があります。浪人をした話や、営業時代に売れなかった時期があったという話など、自分と重ねられる部分があると、ぐっと心理的ハードルが下がります。

いかがでしょうか。部下やチームメンバー・仕事仲間と距離を縮めるためのテクニックを3つ紹介しました。自分のこともきちんと語り、相手の話もしっかり聞く。そういう姿勢を持って相手と接することで、きっと心理的な距離を縮めることができるはずです。