YouTube「NG動画」どの規約で締め出されるのか

公開した動画やチャンネルが凍結される場合とは?(写真:Luce/PIXTA)
コロナ禍でYouTubeなどの動画を配信する芸能人や個人、企業が増えました。再生回数を増やし、YouTuberになった人もいる一方で、動画を配信する際のリスク、法律や規約について知らないまま配信している人も多いのではないでしょうか。
IT業界を知り尽くした弁護士の河瀬季さんが日々受ける相談、遭遇する問題をもとにQ&A形式で読みやすく解説した新刊『IT弁護士さん、YouTubeの法律と規約について教えてください』から一部抜粋、再構成してお届けします。
今回はエンタメ系YouTuberアキラくんがYouTubeの利用規約について聞いています。

エンタメ系動画で気をつけるコンテンツ

Q:YouTube の利用規約等に違反してしまうと、せっかく公開した動画が削除されたり、場合によってはチャンネル凍結などの措置を受けたりする可能性もあると聞きました。

A:エンタメ系動画では、「有害または危険なコンテンツ」の禁止に注意する必要があります。これは、コミュニティガイドラインにおいて定められている規定で、「深刻な身体的危害や死亡のリスクを伴う危険または違法な活動を助長するコンテンツ」が禁止されています。例えば、「非常に危険なチャレンジ」「危険ないたずらや危険を感じさせるいたずら」(Harmful or dangerous content policies ? YouTube Help) を含むコンテンツが問題とされるケースが多いでしょう。

最近では生命や身体に危険があるような挑戦を行う過激な動画、過激なドッキリなどは削除されてしまうケースがあります。

明確な基準はないのですが、「過激さ」をウリにする動画は避けたほうが無難と言えるでしょう。

各種規約等の1つである、「Google パブリッシャー向け制限コンテンツ」に、「衝撃的なコンテンツ」の禁止規定があり、下記のものが禁止対象とされています。「有害または危険なコンテンツ」に該当すると判断されてしまうと削除対象になってしまうので、注意が必要です。

・陰惨な、生々しい、または不快感を与える記述や画像
例: 血液、臓腑、血のり、性的な体液、人間や動物の排泄物、犯罪場面や事故現場の写真
・過度に猥せつな言葉や冒とく的な言葉を含むコンテンツ
例:悪態や罵りの言葉、冒とく的な表現を表す言葉のバリエーション

「危険または中傷的なコンテンツ」という規定もあります。エンタメ系動画との関係では下記が問題になります。

・ 自分自身や他者に身体的または精神的な危害を加えると脅迫したり、それを奨励したりしているコンテンツ
例(一部):自殺や拒食症などの自傷行為を奨励するコンテンツ、実際に危害を加えることを想定した個人に対する脅迫、または他者に対する攻撃を呼び掛けるコンテンツ、他者に対する暴力を助長、賞賛、容認しているコンテンツ

無理なダイエット企画などは、上記に該当する可能性があると言えます。また、YouTubeでは医学的なデマ等を禁止する動きが見られます。こうしたコンテンツに該当するとみなされないよう、注意が必要です。Twitterも、新型コロナウイルス関連でデマを削除する声明を発表しています。無責任なデマやフェイクニュースの拡散等は、たとえ法律等で違法とならなくても、ネット上では、それぞれの規約等で禁止されるケースが多くなっています。

Q:飲酒の動画については、規約ではどうなっているのでしょうか?

A:飲酒系の動画、コンテンツに関しては、例えば、一気飲みで盛り上がる動画など、「過度の飲酒」などを「好ましい行為として」描いた動画は、削除の対象となります。