「想像以上に凄い!」アマゾンのリーダー育成研修

アマゾンの幹部候補生たちを育てるLeader of Leadersという研修。そこで体験できることとは……? (写真:ufabizphoto/PIXTA)
1995年に創業し、時価総額世界一にもなった巨大企業アマゾン。特筆すべきは、同社は今も驚異の成長を続けていることだが、その原動力は画期的なサービスや技術力ではなく、ジェフ・ベゾスフたちが試行錯誤の末にたどり着いた人事制度である。優秀な人材を雇い入れ、最大限にパフォーマンスを発揮させることで、持続的な成長を可能にしている。その人事制度ができあがっていくのをアマゾン内部で体験した佐藤将之氏の新著『amazonのすごい人事戦略』から、アマゾンのリーダー研修の様子を紹介する。

世界各国からリーダーたちがシアトルに集結

アマゾンには幹部候補生たちを育てるLeader of Leadersという研修があります。

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この研修を受けるのは、その名のとおり、リーダーを引っ張っていくリーダーになるような人たち。たとえば大きな事業部の責任者であったり、大きなビジネスユニットのリーダーだったりする人たちです。アマゾンのジョブレベルで言うと、ディレクターやシニアマネジャーと言われるレベル8、レベル7の人たちが、このLeader of Leadersに選ばれて研修を受けることになります。

Leader of Leadersが初めて行われたのは、たしか2009年か2010年だったと記憶しています。最初に研修を受けるのは優秀な人たちでないと効果がわからないので、全世界から非常に優秀な人だけが呼ばれました。それに当時の私のボスが参加して、「なんか面白い研修だったよ」と教えてくれたのを覚えています。そしてその2年後ぐらいに私も参加しました。確か2011年だったと思います。

この研修は計2週間のプログラムです。

1週間ずつ、1回目の研修から1カ月ほどの間隔をあけてから、2回目が行われます。

最初の1週間は「リーダーとは何か」がテーマで、マネジャーからリーダーになるためには何が必要かについて学びます。

次の1週間のテーマは、「リーダーのリーダーとは」。ただのリーダーから、そのリーダーたちを率いるリーダーになるためにはどうすればいいかがテーマになります。

私が参加したときは全世界から同じジョブレベルのリーダーたちがシアトルに集まり、山の中の施設に1週間こもって研修を受けました。飛行機代、宿泊費、外部の講師への謝礼など、おそらく1人あたり400万円から500万円はかかったのではないでしょうか。

ここから、私が体験したことを実録風にお伝えしていきましょう。

Leader of Leaders 1週目は、「リーダーとは何か」という座学や、写真を使ったワークなどから始まりました。

まずいろいろな写真を30枚ぐらい渡されて、

「この中からあなたの心情をいちばんよく表しているカードを1枚選び、それを選んだ理由を説明してください」

と言われます。そのあと、もっと深いところに視点を移して自分を見つめ直し、それが終わったあとに、再びもう1枚選んで、どう変わったかを表現するというワークです。

そして3日目の晩に、

「明日からはロールプレイングをします。みなさんは電球をつくっている会社の社員です。Aチーム、Bチーム、Cチームに分かれて、どのチームがいちばん活躍するかを競ってもらいます」

と言われ、その架空の会社のどの役職を演じるかを選ぶことになりました。