「自ら悩みを解決できない人」に欠けた数学的思考

自分で悩みを解決できる人とそうでない人の違いとは何なのでしょうか(写真:Pangaea/PIXTA)
今、あなたには何か悩みがありますか?
「悩みがありません」という人もいらっしゃるかもしれませんが、そう言った方は稀でしょう。おそらく多くの方は、「給料が上がらない」「恋人ができない」「成績が上がらない」などの悩みが尽きません。
しかし、これらの悩みは、誰かが解決してくれるわけではありません。最後は自分で解決するしかないのです。
世の中には、自分で悩みを解決できる人とそうでない人がいます。一体、彼らの違いは何なのか。『あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考』を上梓したビジネス数学教育家である深沢真太郎氏は、その答えを「思考が数学的かどうか」だと主張しています。新刊のエッセンスを交えながら、自分で悩みを解決できる人の思考法をご紹介します。

多くの人は悩みの解決法がわからない

突然ですが、あなたは自分の悩みを解決したいですか?

おそらく、ほとんどの方が「YES」と答えるでしょう。

悩みのない人はいませんし、悩んだままでいいと思う人もいないでしょう。

しかし、多くの人はその悩みの解決方法が分かりません。

たとえば、「上司とうまくコミュニケーションがとれない」という悩みがあったとします。もちろん解決したいけれど、解決方法が分からない。だから悩みます。

そういう意味で、「私たちは悩みがあることに悩んでいる」のではなく、「悩みの解決方法が分からないので悩んでいる」と解釈するほうが正しいように思います。

「悩み」と「問題」は同義です。「上司とうまくコミュニケーションがとれない」という悩みは、まさにその人にとって解決したい問題と言えます。つまり、悩みを解決するという行為は問題解決するということなのです。

悩みを自分で解決できるようになるために、まずは“悩みの定義”について考えてみましょう。悩みの定義とは、「そもそも“悩み”とは何か?」ということです。

この時、気をつけたいのは、「人間関係に悩んでいる」とか、「仕事がうまくいかなくて悩んでいる」とか、「最近太ってきた」とか、そういった具体的な悩みの内容ではないという点です。

悩みの定義が難しいと考える方は、次の〇〇に言葉を当てはめてもよいでしょう。どのような言葉が入るでしょうか?

“悩み”とは、〇〇である。

そもそも「悩みとは何か?」を考えたことがある人は、ほとんどいないでしょう。しかし、「悩み」なるものの正体が言語化できていない人が、はたしてその「悩み」を解決できるのでしょうか。

たとえば「“優しさ”とは何か」を知らない人が本当の意味で人に優しくできないように、「そもそも“悩み”とは何か」が分かっていない人は、その“悩み”なるものも解決できない??。ですから先ほどの問いには重要な意味があるのです。

もしかしたらみなさんからは、「“悩み”とは、ストレスである」「“悩み”とは、モヤモヤしたものである」「“悩み”とは、自分の足を引っ張るものである」など、さまざまな答えが出てくることでしょう。それらはすべて正解です。いえ、むしろ間違いなどありません。

悩み=理想と現実のギャップ

一方で私の考えは、「“悩み”とは、理想と現実とのギャップである」です。

たとえば、「人間関係に悩んでいる」というのは、あなたの理想とする人間関係があるものの、理想と現実に食い違いがあるということです。

「仕事がうまくいかない」や「最近太ってきた」なども、すべて同じです。理想と現実の食い違い。これが悩みの正体です。

いったんこの定義で話を進めるとしたとき、私たちが悩みを解決するために必要なことは何でしょうか。