コロナ禍で、なかなか人に会えない状態が続いています。そんななか、孤独に悩む人も増えており、ある調査では、20代の3人に1人が「孤独や寂しさ、不安を感じることが増えた」と答えていました。
自殺者も急増しており、CNNなど海外メディアが一斉に「日本ではひと月の自殺者がコロナで1年で亡くなった人数を上回った」と報道する事態となっています。経済的な理由だけではなく、こうした「精神的な孤独・孤立」についても、目を向ける必要があるでしょう。
日本では、「孤独」が「1人」や「自立」と混同され、美化されがちです。しかし、「つながりたいのにつながれない」「頼りになる人がいない」「支えてくれる人がいない」という「孤独」は精神疾患、認知症、心臓病など多くの疾病を招く重要因子と捉えられ、海外では「現代の伝染病」と危惧されています。
イギリスでは「孤独担当大臣」を設け、国を挙げてその対策に取り組むほど。コロナ禍で、世界レベルでその状況は悪化しており、各国で大きな社会問題としてクローズアップされています。
「孤独を覚える人の脳は『飢餓』と同じ状態にある」。先月、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)の脳神経学者が、こんな興味深い研究を発表しました。
孤立状態に置かれた人に、複数の人が一緒に楽しそうに時間を過ごしている写真を見せ、その脳を調べたところ、飢餓状態に置かれた人が、ピザの写真を見たときと同じ特定の脳の部位が活発化したのだそうです。
「『社会的なつながり』は、人間としての根源的なニーズ。『孤立』を余儀なくされた人は、飢えた人が食べ物を渇望するのと同じように、『つながり』を求める」と、この研究者は解説しています。
1人の時間を楽しむ「個独」とは違い、まるで「孤児」のように不安な「絶望的孤独」に恒常的に置かれた場合、人は「精神的な飢餓状態」に陥るというわけです。
「つながること」が難しい時代、社会として抜本的な「孤独対策」に取り組んでいく必要があるわけですが、身近なところで、1人ひとりが実践できる「つながりを作るコミュニケーションの工夫」について、少し紹介しましょう。
最近増えている「ウェブ会議でのやりとり」は、対面と違い、非常に脳に負荷がかかることが知られており、海外でも「Zoom Fatigue(ズーム疲れ)」などと話題になっています。