例えば、画家や作曲家、コピーライターやデザイナーなども、最初は師匠やほかの作家の作品を模倣することから始まることが多いでしょう。スポーツの世界でも、名選手のフォームを模倣するというケースは多いはずです。つまり、どのような分野においても、オリジナリティを発揮するための基礎トレーニングとしてトレースが根づいています。
マーケティングも同様に、「優れた成功モデルの模倣」から学ぶことができるはずです。例えば、皆さんのまわりにも戦略を考えることが得意な人がいるのではないでしょうか? このような人は、生まれつき戦略を考えることが得意なわけではなく、無意識に成功パターンを分解して、自分の脳にインプットすることで「引き出し」を増やしているのです。つまり、「模倣するトレーニングを繰り返して」いるのです。
同様に、皆さんも日常の中で成功モデルを模倣するトレーニングを繰り返すことで、マーケティング戦略を考える力を鍛えることができるはずです。
上司からこのような依頼があったとしましょう。
こんなとき、成功モデルを自分の中に取り込む(模倣する)トレーニングをしていれば、「あの企業の成功パターンを応用してみよう」などと、思いつくはずです
ここからは、戦略を模倣するにあたってのポイントを考えていきます。
例えば、「この企業がこの広告媒体に投資しているから、自分もマネしてみよう」というのは、よい摸倣ではありません。単にマネしても、成果はおぼつきません。戦略の成功は、その企業のビジョンや理念、ビジネスモデル、組織文化などが複雑に絡み合って生まれたものです。ですから、裏側の仕組みから理解して、根底から摸倣する力を磨くことが大切です。
どうすれば仕組みから模倣をすることができるのでしょうか?
ここでフレームワークを活用するのです。世の中にフレームワークはたくさんありますが、ここで紹介する5つの基本フレームワークだけマスターできれば十分です。
この5つの基本フレームワークを活用して、成功企業のマーケティング戦略を読み解いていくことで、自分の仕事に活用するヒントを得られるはずです。
ここまでマーケティング戦略を描く力の鍛え方を考えてきました。
この2つのトレーニングを日頃から繰り返すことを、仕事に活きるマーケティングの実践知を身につけることができます。
最後にマーケティング思考力とスキルは、「誰が身につけるべきものなのか」を考えてみます。筆者の主張は、「マーケターや経営者以外のすべての職種の人もマーケティングを学び、自分の仕事にマーケティング思考力を活かすべきである」です。
例えば、次の2つの組織では、どちらがマーケティング施策の成果を出しやすいと思われますか?
言うまでもなく、成果を出しやすいのは「②100人全員がマーケティング思考を持っている組織」でしょう。筆者が10年近くマーケティングの世界にかかわる中で見た「最も成果が出た組織」には次のような特徴がありました。