健康寿命を延ばす「無理しない思考法」

酒飲みはボケやすい? 高齢者はお酒とどう付き合うべきか

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飲みすぎは脳に悪影響を与える

確かなことが言いづらい状況ではあるものの、それでも、穏やかで幸福な老後を望んでいる人は、お酒にどう向き合ったら良いのでしょうか。現実的な落としどころを探ってみましょう。

仮に適量の飲酒がからだに良いとして、お酒を飲める人が1日ビール中瓶1本で終わるでしょうか。
おそらく、その程度では収まらないように感じます。

ここが大きな問題です。酒の量が増えてしまえば、間違いなく認知症のリスクは高まるからです。

飲酒の量をきちんとコントロールして飲める人は、なかなかいないものです。
これまでの人生でさんざん飲んできて、老後となった今は寝酒1杯だけ、という感じになれば、適量を守るのは可能かもしれませんが、現実的はないでしょう。

また、若いうちなら大量飲酒も良いのかといえば、やはりそんなことはありません。大量飲酒には、様々な病気になるリスクがあります。すでに書きましたが、認知症リスクも高まります。

アルコールの脳への影響で有名なものは、脳の萎縮です。
1日2合以上の飲酒によって、健康な人より脳萎縮が進むことがわかっています。

また、お酒を飲みすぎると10年早く脳萎縮が進行するという報告もあります。しかし、禁酒をすると脳萎縮が改善するのです。

飲酒を楽しみつつ、健康も損なわない方法

飲酒を楽しみつつ、老後の健康を考えるなら、お酒は日本酒換算で1日1合(ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯)程度までに控えておくことがギリギリのラインでしょう。

普通に飲める人がビール中瓶1本で終えられるかということが、現実的な問題なのですが、我慢できない人は次のことを意識してもらうと良いかもしれません。

飲酒と健康の関係はまだわからないところがあるものの、確実に言えることがあります。
飲酒量が増えると脳は萎縮し、あらゆる病気になるリスクは高まり、死亡率は上がっていく、ということです。ここは事実と考え、適度な飲酒を楽しむようにしましょう。

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プロフィール

米山公啓
米山公啓

1952年、山梨県生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業、医学博士。専門は脳神経内科。超音波を使った脳血流量の測定や、血圧変動からみた自律神経機能の評価などを研究。老人医療・認知症問題にも取り組む。聖マリアンナ医科大学第2内科助教授を1998年2月に退職後、執筆開始。現在も週に4日、東京都あきる野市にある米山医院で診療を続けているものの、年間10冊以上のペースで医療エッセイ、医学ミステリー、医学実用書、時代小説などを書き続け、現在までに300冊以上を上梓している。最新刊は『脳が老化した人に見えている世界』(アスコム)。
主なテレビ出演は「クローズアップ現代」「世界一受けたい授業」など。
世界中の大型客船に乗って、クルーズの取材を20年以上続けている。
NPO日本サプリメント評議会代表理事。日本老年医学会特別会員。推理作家協会会員。

著書

80歳でもほどよく幸せな人はこういうふうに考えている

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米山公啓 /
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