健康寿命を延ばす「無理しない思考法」

イライラで寿命が縮む? 医師が教えるストレスを抑える技術

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ストレスの解消法

ストレスをどう解消していけばいいのでしょう。
前述したように短い期間なら、時間が解決してくれますから結果はどうあれストレスからは解放されます。しかし、普段からストレスにさらされ続けている場合は、自分なりのストレス解消方法をみつけなければいけません。
無理をしないでストレスを解消する、4つの方法をお教えします。

1 考え方を変えてみましょう

どんな状況にあっても、悩んでいるのは脳の中です。考え方を変えることで、実はまったく違う状況にすることができます。これは人間の脳のもっとも進化した部分である前頭前野という部分の働きです。
私が大学病院を辞めて作家業に転身しようと考えていたとき、ある出版社の社長から、「簡単に大学病院を辞めてはだめです。いろいろな嫌がらせがあるでしょうが、それを作家になったら書けばいいのです。そんな貴重な経験はできませんよ。今を楽しむべきです」と言われました。こんな職場にはいたくないと思っていたのですが、今を楽しめと言われてまったく状況が変わったことを憶えています。
考え方を変えることで、心が非常に楽になるのです。
どんな状況にあっても、自分のためになる何かがあると考え方を変えれば、見えてくるものが違ってきます。

2 上手に休みましょう

忙しいと休めないと思うかもしれませんが、短時間眠るだけでもからだを休ませることができます。睡眠時間を削ってまで仕事を続けることは判断力がにぶっていい結果にはつながりません。とにかく横になって、だらだらする必要があるのです。
仕事が早い人はオンオフの切り替えが非常に上手な人が多いものです。仕事が途中でも、ぱっと中断して、家に帰るようにしましょう。
知り合いの大工さんと一緒に仕事をして、感心したことが二つあります。一つはどんなに仕事が途中でも、必ず午前10時と午後3時には休憩する取ることです。素人はついつい時間を忘れて、仕事を続けてしまいますが、職人はからだを休めることを忘れないのです。
もう一つは仕事の切り上げ方です。午後5時少し前には、仕事をしながら片付け始めて午後5時には必ず、仕事をやめていました。長く仕事を続けられきたのは、上手な休み方と仕事の切り上げ方なのだと教えられました。

3 からだを動かしましょう

適度に体を動かすことはストレス解消の基本です。ウォーキングやジョギングまでしなくても、1時間に一回は席を立って歩き回るだけでいいのです。昼休み時間も、レストランまで歩く時間を楽しみましょう。

4 熱中できる趣味をもちましょう

仕事以外に集中できる時間があればストレス解消になります。仕事から離れる時間が大切なのです。
イライラを感じたら、ストレスにさらされていると理解しましょう。その原因となることに立ち向かうのではなく、その状況のどこが自分のためになるのかまずは考え方を変えてみましょう。意外な自分の思考に驚くかもしれません。

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プロフィール

米山公啓
米山公啓

1952年、山梨県生まれ。聖マリアンナ大学医学部卒業、医学博士。専門は脳神経内科。超音波を使った脳血流量の測定や、血圧変動からみた自律神経機能の評価などを研究。老人医療・認知症問題にも取り組む。聖マリアンナ医科大学第2内科助教授を1998年2月に退職後、執筆開始。現在も週に4日、東京都あきる野市にある米山医院で診療を続けているものの、年間10冊以上のペースで医療エッセイ、医学ミステリー、医学実用書、時代小説などを書き続け、現在までに300冊以上を上梓している。最新刊は『脳が老化した人に見えている世界』(アスコム)。
主なテレビ出演は「クローズアップ現代」「世界で一番受けたい授業」など。
世界中の大型客船に乗って、クルーズの取材を20年以上続けている。
NPO日本サプリメント評議会代表理事。推理作家協会会員。

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