(インタビュアー:長谷川晶一)
――12月を迎え、つかの間のオフシーズンが到来しました。まずは、愛媛県松山市で行われた秋季キャンプについて伺います。このキャンプでは、どのようなテーマや課題をもって臨んだのですか?
髙津 完全にオフになるベテラン組であったり、戸田で残留しての練習組、ちょっと登板が多かったり、疲れが残っている選手など、リカバリーに努めてもらう組はじっくりと休んでもらうことにしました。だから、松山には、普段はあまり我々が見る機会がなかった選手を連れて行きました。基本的には二軍で今年頑張っていた若手を主体に、「できるだけ人数を絞って少ないメンバーをじっくり見てしっかり鍛えよう」というのがこのキャンプの大きな目的でした。なかなか見るチャンスの少なかった選手たちを、我々がしっかりと把握するというのが大きな目的でしたね。
――人数を絞ったというのはもちろん、日本シリーズの激闘もありましたから休養させるべき選手にはきちんと休ませるという意味もあったと思いますが、一方では少数精鋭でじっくりチェックできるというメリットもありますね。
髙津 もちろんその通りです。できるだけメンバーを絞って、練習も多くさせたい。こちらもたくさんしっかり集中して見たいというところが、大きな意図ですね。
――その結果、今年の長岡選手や内山選手に匹敵するような目立った選手はいましたか? あるいは手応えや収穫はありましたか?
髙津 うーん、どうですかね。練習だけですぐに結果が目の前にポンと出てくるようなことでもないので、一概に「ああです、こうです」というのは難しいんですけれども、「もうちょっといけるかな、もうちょっとできないかな」と思ったのが、正直なところですかね。あんまり具体的に言うのはちょっと難しいんですけれども。
――とは言え、例えば2022年の沖縄キャンプでも「若手の伸びしろがなかった、残念だった」という発言がありつつ、長岡選手や内山選手、木澤尚文選手のような台頭もありました。当然、まだこれから可能性もあるし、チャンスもあるのではないですか?
髙津 そうですね。そうした選手が出てくるのを期待しているのも間違いないですし、そういう人が出てこないと、来季は勝てないというのもよく理解しているつもりなので。もちろん、必要だと思う選手であれば、若かろうがベテランだろうが外国人だろうが、まったく関係なく、僕は起用しようと思っています。でも、若い選手が将来のスワローズの中心としてやってくれるものだと思っているので、そういう人がどんどん出てきてくれるのは期待しています。
――一方でスコット・マクガフ選手の退団が決まりました。当然、来季の中継ぎ以降の投手編成も変わってきますが、まずはこの4年間のマクガフ選手の活躍について、監督の思いを教えていただけますか。
髙津 ひと言では表現しづらいほどの貢献をしてくれました。目に見える数字で言えば、今年の38セーブであったり、昨年の31セーブもそうです。こうした成績はもちろんですけれども、彼は外国人選手が6人、7人いる中で中心となってまとめてくれました。さらに、日本人選手との橋渡しであったり、日米の野球との違いであったりということを、ピッチャー、野手関係なく、いろんな相談に乗って、アドバイスをしていました。貢献度というのは、非常に大きかったです。
――グラウンド外での活躍、貢献も大きかったということですね。
髙津 そうです。数字はもちろんですけれども、それ以外でも頑張ってくれたことを、僕は評価しています。なかなかこうしたことができる外国人というのはいません。彼のような選手がこれから現れてくるのかどうかと考えると、スコットがいなくなってしまったことは、クローザーがいなくなってしまった以上に、「これから、外国人たちは大丈夫かな?」って思う意識が強いです。そのくらい数字以上のものを残してくれた、素晴らしい外国人選手だったと思います。
――マクガフ選手がチームにもたらしたものとは、例えばどういうことですか?
髙津 新しく入ってきた外国人選手がやりやすい環境を作るために、「この人はこういう人だよ」「こういうときはこうするんだよ」という、生活面も含めていろいろなアドバイスをしてくれました。スコットの本当にすごいところって、どこの国の出身かにかかわらず、分け隔てなく、みんな平等に接していたというところなんです。「オレが1番だ」とか「オレが先に日本に来ているんだ」というのをまったく感じさせない。そこは、後から来た外国人投手はもちろん、ピッチャーではないけれども、ホセ・オスナとか、ドミンゴ・サンタナら野手陣ともすごく仲良くベンチやロッカーで過ごしてくれました。本当に過ごしやすい環境を、彼が整えてくれましたね。