2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――2021年ペナントレース。交流戦までの43試合を20勝16敗7分、貯金4、3位という状況で終え、ついに交流戦に突入しました。ここまでの戦いを振り返っていただけますか?
高津 キャンプ前の自主トレ期間中にコロナ感染者や濃厚接触者が出たり、シーズンに入ってからも同様の事態が起きました。40試合が過ぎた段階で振り返るには早いのかもしれないけど、「よく頑張っているな」という印象はありますね。
――「よく頑張っている」というのは、どの辺りですか?
高津 あんまり、今の段階で褒めたくはないんだけど(笑)、選手個々人のヤル気であったり、感情の高まりであったり、チーム全体が一丸となって勝利に向かっている雰囲気は確かにありますね。
――前回のこの連載において、監督就任2年目について、「間違いなく『慣れ』はあります」と発言していました。その一方で、「より厳しく接するようになった」という趣旨の発言もしています。
高津 去年は、「細かいことは気にせずにのびのびやろう」ということを主眼にしていました。でも、今年はそれに加えて、細かな要求を選手たちにしています。それは、新しい作戦であったり、選手への課題であったりいろいろだけど、求めるものが多くなったのは確かだし、選手たちも、それによく応えてくれていると思いますね。
――ここまでの「収穫」、そして「誤算」を教えてください。
高津 「収穫」はやっぱり、投手陣ですよね。神宮球場というバッターに有利な球場において、「いかに相手打線を抑えるか」というのは永遠の課題です。今年はここまで、チーム防御率も改善されています。先発陣で言えば、バンデンハーク、サイスニードといった新外国人投手、巨人から移籍した田口(麗斗)、奥川(恭伸)、金久保(優斗)といった若手投手がよくやっていると思いますね。
――では、「誤算」は?
高津 これはやっぱり、コロナによる離脱、濃厚接触者たちの隔離です。プロアスリートが、シーズン途中に長い期間、試合に出られない、満足なトレーニングもできないというのは、本当に大変なことでコンディション維持もかなり大変だったと思います。