「スワローズらしい良い文化を継承し、明るい素晴らしいチームを作っていかなくてはならない」――就任会見でそう語った、東京ヤクルトスワローズ高津臣吾1軍監督。昨季、2軍監督という立場からチームを支えてきた高津監督は、思わぬ事態に見舞われたこの2020シーズン、1軍監督としてどのようなビジョンでリーグ制覇を目指していくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の野球論を余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――開幕から2カ月以上が過ぎ、8月も終わろうとしています。ここまでの感想を教えていただけますか?
高津 開幕前には大なり、小なりのさまざまな目標を立てて挑みました。もちろん「勝つこと、優勝すること」が最優先ですが、もう一つ重視していたのが「選手にケガをさせないこと」「シーズンを通じてフルメンバーで戦うこと」を大切にしてきました。防ぎようのない故障もあるけど、何人か故障者が出たのは反省点です。
――「故障」を具体的に想定することは難しいとは思いますが、「故障者は出るものだ」と想定することは可能だと思います。この点についてはどのようにお考えですか?
高津 もちろん、「故障者が出たらどうするか?」というのは想定しなければいけないことです。ここまでのケースで言えば、開幕直前に中村悠平が、開幕後に嶋基宏が故障で離脱しました。だからキャッチャーは井野卓、西田明央、古賀優大らでカバーしてきました。内野陣では故障ではないけれど、たとえば山田哲人を休養させるために宮本丈や廣岡大志ら若手を積極的に起用しました。故障者が出るのは痛手ではあるけれど、チャンスをもらった若手が頑張っているのは嬉しいですね。
――さて今回は「勝てる組織とは?」ということを伺いたいと思います。まずは、リーダーが頂点に位置して、そこから上意下達のピラミッド型がいいのか、それとも風通しのいい横並びの関係がいいのか、高津監督の理想はいかがでしょうか?
高津 今、「ピラミッド型」という表現がありましたけど、絶対的に仕切る人、管理する人は必要だと思います。トップの人が積極的にマネジメントする。そこがハッキリしていないと、その下で働く人、「下」という言い方はあんまりしたくないけど、そういう人たちは動きづらくなる。だからこそ、全体を統括する人がきちんと指示する。ビシビシと「イエス、ノー」を言う必要があると思います。
――それは、野村克也監督、若松勉監督ら、現役時代に仕えた監督と接して感じた結論でしょうか?
高津 僕の現役時代は、グイグイ引っ張るタイプの監督もいれば、どちらかと言うと柔軟に周囲との会話を大切にしている監督もいました。それは、どちらがいいとか悪いということではなくて、僕自身のタイプとしては、「監督としてテキパキと判断しよう」というのは心がけていることです。