「変わりたくない」と抵抗する勢力に対しては、これまでの連載で解説してきた次のステップをとりましょう。
あえて上位2割に入れずにスルーする。加点主義を意識させ、減点に目を向けさせない。ベンチマーキングをして基準を高め、現状のままではいけないと気づかせる。説明責任を果たして変化の必要性を理解させる。
これらはすべて、太陽アプローチです。変わりたくない人を無理やり変えようとすることは、百害あって一利なし。
この弾み車を回すアプローチをベースに置いて取り組んでください。
さて、ここまで、目標を掲げ、関係性をつくり、主体性を引き出し、弾み車を回す方法をお伝えしてきました。
次に重要になるのは、勝手に育つ仕組み「自働化」です。
チームづくりをオートメーション化する必要があるのです。
というのも、組織は拡大すると弱くなります。「成長のない拡大は膨張」と言われますが、そのとおりです。
チームで成果をあげるようになると、組織は拡大していきます。
すると、少人数の頃は素晴らしいチームだったのに、いつの間にか人数が増え、組織が弱くなってしまうのです。
この現象を、経営者たちはよく「血が薄くなった」と表現します。
チームの強さは1人ひとりが目標に燃えているかで決まります。組織が拡大すると、目標に燃えない人が増えてしまうのです。
拡大しても強くするにはどうしたらいいのでしょうか?
もう1つ問題があります。
それは、人が楽をしたがる生き物だということです。
強いチームをつくって成果を出すには、やはり努力が必要です。変化にも適応しなければなりません。
そのような改善活動や目標へのエネルギーは、歳をとるにつれて落ちていきます。体力が衰えれば、気力も落ちていく。哀しいことですが、いつまでも若い感覚のままではいられないのです。
だからこその自働化です。
自働化の働は「動」ではなく、ニンベンがついた「働」です。自ら動く=作業するのではなく、自ら働く=目標に燃えて成果をあげる。
弾み車が回ってきたと感じたら、この自働化に取り組んでみてください。
また、弾み車が回るまでいっていなくても、先にこのステップに着手しても問題ありません。育成の仕組みを自働化することは、どの段階でも役に立つことです。