上司1年目は“仕組み”を使え!

残念なリーダーとデキるリーダーの差は「目標の掲げ方」に表れる

2022.10.06 公式 上司1年目は“仕組み”を使え! 第35回

マイルストーンを設定せよ

目標を掲げ方について意識できるようになったら、次はマイルストーンの決定です。
マイルストーンとは、本来は1マイルごとに置かれている標石のこと。ここからここまでで1マイル、次は1マイルと教えてくれる石のことです。1マイルごとだから、マイルストーン。これが転じて「中間目標」を指すようになりました。

目標は、ドライブで言えば目的地です。どこに向かうのか、その方向性を教えてくれます。
中間目標を決めることで、そのためにどの道を通って、いつまでにどこに行くのか、目的地に近づいているのか、遠ざかっているのかが、わかるようになります。
たとえば、「〇〇で日本一のチームになる」としたら、何を達成しないといけないのでしょうか。
3ヶ月後までには何をどう達成する? 6ヶ月後までには何をどう達成する? といったように未来の日付に目標となる石を置いていきます。
これは最初は難しく感じるかもしれませんが、会話の未来比率が増えてくると、具体的にマイルストーンの設定ができるようになるのです。

最初から決めなくていい

私自身の話ですが、2020年の1月に『タカ社長のチームD大学』というYouTubeチャンネルを立ち上げて、2022年5月現在、2万8000人の登録者がいます。
YouTubeというのは、膨大なエネルギーと時間を投下する必要があります。
企画を立て、パワーポイントで資料を作って撮影をし、編集してアップロードする。その作業を、本業の仕事と並行しておこなうのは過酷なものでした。

このとき、私の掲げていた共感目標は「組織で悩む人を1人でも減らす」という漠然としたもの。マイルストーンも何もないままスタートしたのですが、実際に取り組み始めると、いろいろなことが必要だとわかってきます。
視聴者のターゲットの選定や撮影技術、カメラの知識、編集技術、登録者を増やすマーケティング、チャンネルのブランディングなど、取り組めば取り組むほど奥深く様々なテーマに直面していきます。
そこで、具体的なマイルストーン目標が決まっていきます。
「これから100日間毎日配信をして登録者5000人アップを目指そう」とか、「編集を外注して動画制作にかかる時間を5分の1に圧縮しよう」といったマイルストーンが設定できるようになります。

ですので、最初からマイルストーンが設計できなくても問題ありません。
まずはざっくりとした共感目標を掲げ、BAF法で伝える。その後、具体的な未来像が見えてきたら、マイルストーン目標を決める。
このマイルストーンがあることによって、達成感や成長感、達成できなかったときのくやしさを味わえるようになります。
この喜怒哀楽のエネルギーが、チームを強くしていくのです。

高野俊一『チームづくりの教科書』書籍の詳細はこちら

ご感想はこちら

プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...
その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の...
出版をご希望の方へ

公式連載