チームとして目標を掲げる場合、目標自体はなんでもいいのですが、共感してもらうためには次の2つを満たすように工夫する必要があります。
・みんなの求める目標であること
・自分個人のための目標ではないこと
実際に自分が率いるチームの目標を書き出してみると、自分本位の利己目標になってしまうものです。
たとえばあなたが、部門の売上を1.5倍にしたいと考えていたとします。
もちろんその目標は、自分だけのための利己目標ではないでしょう。会社のため、一緒に取り組む仲間のため、ひいては商品を購入してくれる顧客のため……。
たとえそうであってもそれは伝わりません。「自分が出世したいからあの目標を掲げたんだ……」と陰口を叩かれるのが普通です。
だからこそ、目標を掲げるときは、みんなの求める共感目標として提示する必要があるのです。
それを伝わりやすくする方法が、BAF法です。
① B … ビフォー
② A … アフター
③ F … フューチャー
この順番で伝えるとうまくいきます。
前項で目標にはWhyが大事だと書きましたが、このBAF法で目標を提示すると、そのWhyをストーリーのように伝えることができるのです。
① B … ビフォー
ビフォーとは、自分のつらい過去や苦い思い出を指します。いま目指したいと思っている目標は、自分のつらい過去、苦しい思い出がきっかけになっていないでしょうか? 過去のネガティブな経験がベースにあると、目標への共感度は上がります。
② A … アフター
アフターは、現在の思いです。過去のつらい思いを他の人に味わってほしくない。その思いが、これから向かう目標の原動力になっていることを伝えます。
③ F … フューチャー
その結果、どんな未来をつくりたいのかを伝えます。多くの場合、このフューチャーだけを目標だと思いがちなのですが、ビフォー、アフターを踏まえてフューチャーを語ることで、目標を達成したいという情熱の本気度と、その背景にある思いに共感させることができます。
たとえば「出世したい」というきわめて個人的な利己目標も、BAF法を使うとみんなの求める共感目標に転換することができます。
Bのビフォーは「出世していなかったことによってつらかった過去」です。それによって味わったつらい出来事を伝えます。
・自分の無力さが原因で大きなミスを犯した。部下が辞めた。会社に迷惑をかけた
・もしももっと自分に力があったら、あの問題を解決できた
・自分は上に行かなきゃいけないと思った
・会社の上層部に入って力をつけ、多くの人の役に立つ自分になりたいと思った
続いてAのアフターは、「自分の経験を他の人に味わってほしくないという現在の思い」です。
・いまこうして部下ができて、以前よりは力を持てた
・でもまだまだだと思っている。もっと多くの人の力になりたい
そして最後、Fのフューチャーは「つくりたい未来」です。
・会社の上層部に上がることで、会社のこの問題を解決したい
・もっと社会にインパクトを与えられる存在になりたい
Fだけでは利己的な目標にしか感じられませんが、BAFで通して読むと共感できるようになったのではないでしょうか。
「海賊王にオレはなる!!!!」
この1つのセリフだけでは共感目標にはならず、ルフィを応援しようとは思いません。
しかし私たちは『ワンピース』の物語を通して、ルフィのビフォー、アフター、フューチャーを知っています。
だからこそ、この目標に共感し、応援できるのです。
目標を掲げることに対して、難しく考えすぎる必要はありません。
やりたいことを書き出し、自分の目指したい状態を見つけて共有し、語る際はBAF法でプレゼン設計する。
そうすれば、みんなの求める魅力的な共感目標を描くことができるのです。