この4つの人ザイ「人財」「人材」「人在」「人罪」をごっちゃにしていませんか?
部下の育成を、共感度×発揮能力で4つに分類すると、部下へのアプローチはまったく変わってきます。
いや、むしろ、アプローチを変えなくてはなりません。これをごっちゃにすると、まったく的外れの非効率な育成をするハメになります。
まず、(2)の「人材」からです。
上の図のように、彼らには「スキルアップトレーニング」が有効です。共感度が高いわけですから、意欲も高く、やる気があります。能力さえ上げればいいのです。
仕事のやり方を教えたり、ロールプレイングをしたり、練習に付き合ったりという、具体的なスキルアップができれば、能力が伸びて(1)の「人財」へと成長してくれます。
とはいえ、(2)に対してスキルアップだけ課していると、いつの間にか共感度が下がって能力だけが伸び、「人罪」へと落ちてしまいます。
そうならないように、ここまで主張してきた、目標、関係性、主体性への施策を絶えずおこなうようにしてください。
続いて、共感度も発揮能力も低い(4)の「人在」は、共感度を上げようとしても、発揮能力を上げようとしてもうまくいきません。
人在にするべきは「入口改善」です。入口とは、採用と初期教育のことを言います。採用されたばかりのスタッフは、本来共感度が高いはずです。能力が低いのに共感度が低いというのは、採用面接や初期教育で失敗しているのです。
「人在」が生まれてしまってからでは遅いのです。そもそも生まれないように採用と初期教育を見直す必要があります。
ほとんどの場合、上司は(4)の「人罪」を放置してしまいます。あなたも放置していませんか?
発揮能力が高いので、能力だけを見れば「人罪」も優秀な部下です。したがって、共感度が低かったとしても、そのまま放置してしまいます。
それによって、組織の中で派閥ができたり、何かをやろうとするたびに反対されたり、陰口をたたく部下が増えたりして、まったくうまくいかない組織になってしまうのです。
(4)にするべきは、1on1面談による価値観共有です。あなたが何を考え、どうしていきたいのか、部下は何を考え、どうしていきたいのか、2人の価値観をすり合わせる必要があります。
ただし、これは簡単なことではありません。そもそも「人罪」が生まれないような仕組みをつくるほうが何倍も効果的です。
じつは(1)の「人財」も放置してしまいがちです。共感度も高くて発揮能力も高いので、「そのままやってくれたらいいよ」としてしまうのです。
すると、「人財」は離職してしまいます。共感度も発揮能力も高い人は、キャリアアップ思考も強いので、「ここで学べることはもうない」と他の組織へ移ってしまうのです。
したがって、(1)の人にするべきは、「次のステージを見せる」ことです。ここで働くことで、どんなステージが待っているのか、そこにワクワクさせる必要があります。「人財」には必ず次のステージを見せてあげなければなりません。
さあ、いかがでしょうか? 4つのタイプそれぞれに対して、適切なアプローチができていましたでしょうか?
もしもあなたのチームの部下全員が、「人財」と「人材」の2種類だけだったら、どうなると思いますか?
共感度が高い組織というのは、部下育成が非常に簡単です。「スキルアップトレーニング」と「次のステージの提示」をするだけで、ぐんぐん部下は成長し、組織はめきめきと成果を上げていきます。逆に、共感度の低い「人罪」や「人在」が増えると、部下が思うように育たないことに常に悩まされることになってしまうのです。