成績が振るわない、メンバーが互いに無関心でいっさい協力し合わない、仕事を作業と思っており楽しそうに働いていない、離職者が多く人の入れ替わりが激しい……。これらは日本の多くの職場で見られる光景です。こうした環境に疲弊し、働くことに希望を見出だせない人が増えています。
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1つクイズをしましょう。「人ザイ・マトリクス」という仕組みについてのクイズです。
部下を「共感度」と「発揮能力」の2つの軸で考えると、縦軸を共感度、横軸を発揮能力としたマトリクスができあがり、4種類に分類できます。
(1)共感度も発揮能力も高い
(2)共感度は高いけど、発揮能力は低い
(3)共感度は低いけど、発揮能力は高い
(4)共感度も発揮能力も低い
この4つに分け、人ザイの「ザイ」の漢字を当ててみようという問いです。人ザイといえば、普通は「人材」と書きます。この「材」以外に、「財」「在」「罪」の漢字を当てるなら、どこにどの漢字が入るでしょうか?
では、それぞれについて見ていきましょう。
まず、わかりやすいところからいきます。(1)の共感度も発揮能力も高い人ザイからです。「共感度も発揮能力も高い人」は宝のような存在ですから、「財」が入り、「人財」となります。これは、私がおこなっている研修会でもほぼすべての人が正解します。
(2)の共感度は高いけど、発揮能力は低い人ザイはどうでしょうか? ここには「材」が入ります。採用したばかりの新人をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。そもそも採用とは「こんなことをしてほしいから一緒に仕事をしませんか」と募集して採用にいたるわけですから、いわば「この指とまれ」です。やるべき仕事に共感しているから応募するのであって、採用段階で共感度が低いはずはありません。
新人の発揮能力は低いのが普通ですから、「人材」ということになります。
(3)は飛ばして、(4)に行きましょう。共感度も発揮能力も低い人ザイ。「罪」と考えた人が多いのではないでしょうか。共感度も発揮能力も低ければ、これはもう手のつけようがないということで罪の字を当てがちですが、違います。
ここには「在」が入ります。在るだけ。共感度も発揮能力も低い人というのは、周りの人への影響力がありません。存在感が薄いのです。
したがって、罪深いほどの影響力もなく、ただ在るだけ、それが「人在」です。
そして最後、そう考えると(3)は何が入るか。もうおわかりだと思いますが、「罪」です。(3)は、発揮能力は高いのに、共感度は低い人ザイです。発揮能力が高いということは、周りへの影響力が大きいわけです。それにもかかわらず、あなたに共感してくれていないのです。
(3)の「人罪」は、あなたの組織において、非常にやっかいな存在になります。まさに罪深い部下と言えるでしょう。