プレイングマネージャーとして得ることができる情報は、部下から上がってくるもの、同じ立場のマネージャー同士で共有されるもの、経営層から下りてくるもの、そして外部の取引先や顧客から得られるものがあります。
とはいえ、プレイングマネージャーになったからといって自動的に舞い込んでくるわけではありません。自分に必要な情報を、自ら積極的に働きかけて取りに行かなくてはなりません。
ここでぜひ使ってほしいのが「ケーススタディ質問」です。今自分が抱えている課題や陥っている状況を包み隠さず伝え、
「こんなとき、どうしていますか?」
と質問することを、ケーススタディ質問と呼んでいます。まるでケーススタディの問題を解いてもらうかのように、自分が困っていること、悩んでいることを、「こんなとき、どうしていますか?」と質問するのです。
すると、これは思わぬ効果を生みます。
同僚や上司、取引先本人の上司としての成功事例や失敗事例を聴くことができますし、相手の部下の事例も掘り出すことができます。自分では思いつかなかった視点やアイデアが手に入ることでしょう。
ですが、それだけではありません。そうやってたくさんの事例に触れるうちに、「あるべきビジネスマン像」が浮かび上がってきます。
プレイヤー時代では、ほとんど「我流」か直属の上司のやり方を真似て仕事のスキルを身に付けていくわけですが、井の中の蛙状態で、世の中にはもっと圧倒的な成果を出す存在がいるはずです。単に事例や手法を手に入れるのではなく、圧倒的な成果を上げるための自分の仕事の基準値をアップデートすることができるのです。
あなたのプレイヤーとしてのピークを引き上げるのは、ここです。どうやって成果を出すのか、圧倒的な成果を出す人は、何を考え、どう行動し、どう巻き込んで成果をあげているのか。ビジネスマンとしてのあるべき姿の基準値を引き上げることができます。
圧倒的な成果を出したいなら、圧倒的な成果をあげている人に、ケーススタディ質問をすればいいのです。
このケーススタディ質問には、更なる重要な効果があります。それは、質問した相手と「同志的信頼関係」を構築できるということです。
人は誰かの役に立ちたい、役に立っていることを実感したい生き物です。困っているあなたの相談を受け、嫌な気持ちになる人は少ないでしょう。あなたが誠実に相談すれば、相手はきっと真剣に答えてくれます。そして、このケーススタディ質問を受けた相手は、一緒に悩み、解決する同志的関係に育っていきます。
ケーススタディ質問は、成功事例や失敗事例を集め、自分の基準値をアップデートし、さらには周囲の人と信頼関係を構築できる、恐るべきアプローチなのです。
ところが、このケーススタディ質問ができていないリーダーがあまりに多いのが実情です。皆さんはいかがでしょうか?
このケーススタディ質問は、質問方法自体はとても簡単です。こんなときどうしていますかと質問するだけです。ところが、意外と難しいのは、質問するあなたが、自分の弱みをさらけ出すことです。特に、上司になりたての人や、責任感の強い人ほど、「何とか自分で解決しなければ」と抱え込んでしまい、周囲の人にアドバイスを求めることを躊躇する傾向があります。
ケーススタディ質問をするためには、現状をさらけ出し、解決できていない問題を言葉にしなければいけません。いわば、自分の弱みを見せる必要があるわけです。そこまでするからこそ相手も誠実に答えてくれ、意味のある情報を集めることができるようになるのです。このハードルを越えられるかどうかが、プレイングマネージャーという立場でさらにもう一段階成長できるかどうかの分岐点となります。
あなたは、自分の現状をさらけ出し、教えを乞うことができていますか?
弱みをアウトソースするには、弱みをさらけ出さなくてはならない。もし、あなたが弱みを見せることに抵抗があるなら、もっと周囲の人を観察してください。
自分をよく見せようと、取り繕ったり、ごまかしたり、できないことを隠したりすることは、かえってカッコ悪いことだと気づくことができるでしょう。
つまり、弱みをさらけ出すことも、プレイングマネージャーという立場を利用すれば、その重要性を容易に腹落ちさせることができるというわけです。
・誰よりも売れる営業になる
・コンサルタントとして圧倒的な成果を上げる
・今まで誰もなしえなかった事業を作り上げる
目指す未来に対して、今の自分が追い付いていないのは当たり前のことです。現状のスキルを比較すれば、皆さんよりも、私よりもすごい人はたくさんいることでしょう。それを恥ずかしく思うことも、卑下することもありません。
できない自分を認め、周囲の意見に真摯に耳を傾け、そこで得た知見を活かすことで、理想の未来に近づくことができますし、まだまだ大きく成長できるチャンスでもあります。そしてそれを公然と行うことができるのがプレイングマネージャーという立場なのです。皆さんのプレイヤーとしてのピークは、まだまだこれからです。