上司一年目の皆さん、いま、あなたはマネージャーですか?それとも、プレイングマネージャーでしょうか?
日本では、マネージャー職の9割が、プレイヤーとしての実務を担いながら、チームの管理も行うプレイングマネージャーだと言われています。ですから、きっとあなたも、プレイングマネージャーだと思います。
チームのマネジメントだけに専念すればいいマネージャーではなく、自ら数字を作り、圧倒的な成果を上げながら、部下を持ち、育て、チームの成果もあげなければならない。実はこれ、ものすごく難しい役割なんです。
多くの組織やリーダーを見てきて私が思うのは、日本のビジネスの現場では、プレイングマネージャーという役割を「安易に」考えている現場が多いということです。
プレイヤーとして仕事で成果を出せるようになると、企業側は「じゃあ、部下の育成もやってね」と部下をつけて、プレイヤーのしごとに「ついでに」マネジメントもやってもらおうとします。はじめて部下をもたされた上司側も、自分の仕事の「ついでに」部下をマネジメントしようとしています。しかし、果たして、ついでにできるほど、マネジメントは簡単なのでしょうか?
自分で成果を出しながら部下もマネジメントするのは、至難の業です。にもかかわらず、プレイングマネージャーは、プレイヤーだけの仕事に邁進しても評価されませんし、マネジメントだけでも評価されないという、非常に難しい時期であり、ここを乗り越えないと、次のステージに行けません。
今回は、プレイングマネージャーになりがちな上司一年目について、なぜプレイングマネージャーが難しいのか、どうすればプレイングマネージャーとしての役割を発揮できるのかを解説します。
ビジネスの現場で、マネージャーの9割を占めるプレイングマネージャーが機能していないとしたら、組織にとっては大きな損失です。ところが実際は、ほとんどの組織でプレイングマネージャーが機能していません。なぜなら、プレイングマネージャーが「プレイヤーとしての自分の仕事を優先してしまっている」からです。
上司1年目というのは、プレイヤーとしての仕事が認められて部下を持たされるわけですから、プレイヤーの仕事が面白くなってきているタイミングです。ようやく仕事で成果が出始めて、お客さんと直接交渉したり、提案したり、資料やものを作ったりと、自分で自分の仕事をして、それが目に見えて成果につながることが楽しく感じられてきているのではないでしょうか。
プレイヤーの仕事は、楽しいものです。そのタイミングで部下を持たされると、どうなるか。部下の育成やチームマネジメントが「ついで」になってしまいます。部下を育てることが、仕方なくやる「受け身の仕事」になってしまうのです。
「わからないことがあったら聞いてきて」と言ったことはないでしょうか? 「ついででやるマネジメント」の仕事は、部下をどう育てるか? や、どうやってチームの成果を伸ばそうか? といった主体的な計画がありません。マネジメントの全てが受け身になり、部下に対して「やる気があるなら何でも聞いてきな」というスタンスであり、部下のやる気を引き出すのは自分の仕事だと思っていません。自分の仕事を「見て盗むこと」や、「教わりたいことがあったら聞いてくる部下に対して答える」ことは大歓迎ではあるのですが、自分の仕事の邪魔にならない範囲で育成を済ませようとしています。
皆さんはいかがでしょうか? 部下の育成に対して受け身ではありませんか? 自分のチームをどう伸ばすか、部下をどう育てるか、主体的に考え、計画し、働きかけているでしょうか?
もし受け身になっているとしたら、それは名ばかりのプレイングマネージャーで、プレイヤーに毛が生えた程度の状態です。この状態でうまくいくのは、「部下がたまたま意欲的で、超絶吸収力の良い人だった場合」だけです。実際、プレイヤーとしての能力が突出している場合、吸収力の高い部下をつけると、その部下がものすごく伸びるというケースはよくみられます。
プレイングマネージャーの成功例というと、ほとんどがこのパターンで、プレイングマネージャーのマネジメント力によって部下が育つのではなく、プレイヤーの成果創出力と部下の吸収力に依存した、非常に再現性の低い状態になってしまっているのです。
本来のプレイングマネージャーは、どうあるべきなのでしょうか? もっとプレイングマネージャーの役割を機能させるには、どうしたら良いのでしょうか。