上司1年目は“仕組み”を使え!

「上司1年目、正直、しんどい…」意外と難しいプレイングマネージャーの立場を乗り切る方法

2022.01.06 公式 上司1年目は“仕組み”を使え! 第17回
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マネージャーの仕事の面白さとは

プレイングマネージャーとしてスタートする上司一年目の人に知ってもらいたいのは、マネージャーの仕事の面白さです。それは、プレイヤーの楽しさとは別の種類のものです。例えば、

  • 自分でやらず、部下がやった仕事で成果が出て、部下と一緒に喜ぶ
  • 部下の意欲が高まり、成長する姿を見るのが嬉しい
  • チームで同じものを目指し、みんなで達成を喜び、みんなで未達成を悔しがる
  • チームで未来を語り、将来像にワクワクする

そういった喜びを、いま、感じていますか? プレイヤーの比率が高いと、これらの喜びは得られません。

マネージャーの仕事とは何か。このことを、プレイングマネージャーは、改めてよく理解する必要があります。プレイヤーとマネージャーの両立をしないといけないプレイングマネージャーだからこそ、マネージャーの仕事を理解していないと、プレイヤーの延長にしかなれません。

皆さんは、マネージャーの仕事とは何かを説明できますか?マネージャーの仕事を端的に表現すると、「マネジメントサイクルを機能させる人」です。マネジメントサイクルとは何でしょうか? 実は、あの有名なサイクルです。

Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善)

マネジメントサイクルとは、いわゆるPDCAサイクルのことです。

「PDCAサイクルなら知ってるよ」
「会社で何回もPDCAサイクルを回せって言われてます」

皆さんそうおっしゃるのですが、このPDCAサイクルを回せているマネージャーは極めて少ないのです。

プレイヤーで成果を上げる人は、計画性がなくても仕事ができます。計画よりも実行です。頭の中に計画はあるのでしょうが、それを紙に書き出したり、周囲の人に見えるようにはしません。計画よりも前に、行動して成果さえ出してしまえば構わないし、むしろその方がスピードが速いと考えるのがプレイヤーの発想です。

ですが、それでは部下は育ちません。計画があれば、部下はその計画を理解し、自分でも実行してみて、検証することで、再現性高くあなたの仕事を覚え、身に付けることができます。プレイングマネージャーのあなたに必要なのは、「PDCAサイクル」なのです。

仕組みを使って
マネジメントを勝手に回す

忙しいプレイングマネージャーには、「PDCAサイクル」にじっくり取り組む時間がありません。では、どうするか。それは、「仕組みの力」を使うことです。具体的には、会議を設計しましょう。

皆さんは、会議を「設計」していますか? ほとんどの場合、会議は会社から参加しろと言われて出ているのではありませんか?

忙しい皆さんの時間を割いて、参加したくもない会議に受け身で参加するのではなく、自分のチームに必要な会議をあなたが設計するのです。

部下との会議は、どんな内容で、どのくらいの頻度で実施するべきでしょうか? 例えば、部下との会議を週1回設定して、部署の目標は何か、どうすればその目標が達成できるか、チームでどう役割分担するかなどが話し合えたらどうでしょうか。

そのチームは、自分たちの目標を理解できますし、一緒に目標を追いかけることができるようになります。

そして、あなたが漠然と考えていた計画が部下に伝わり、チームの「計画の見える化」が自動的にできるようになります。
さらには、その週1の会議で行動の進捗を確認すれば、PDCAサイクルは完成します。これは、会議という仕組みを使って、マネジメントサイクルが勝手に進むということです。

そうすると、実は副産物として、部下が育ちます。部下が育つと、あなたのプレイヤーとしての仕事を任せられる部分が増えて行きます。

つまり、あなたのプレイヤーとしての仕事を部下に任せ、あなた自身は時間にゆとりができ、さらにプレイヤーとしての仕事を増やすこともできるでしょうし、マネジメントに時間を割く余裕を作ることもできます。

一般的には激務であるプレイングマネージャーは、マネージャーの仕事をほんの少し優先するだけで、時間的な余裕が生まれるのです。

一人でできないことをするのがチーム

これまでプレイヤーとしての仕事に熱中してきた人の中には、部下を持ち、マネジメント業務を兼任することを、重荷に感じる人もいるでしょう。
慣れない業務を煩わしく感じたり、部下の成長スピードにもどかしさを感じたりすることもきっとあります。

しかし、チームのメンバーは、当たり前のことではありますが、皆さんの成果を邪魔するためにいるわけではありません。むしろ一人ではできないことを一緒に達成するために存在しているのです。

なぜチームがあるのか。それは、一人でできないことをするためです。皆さんのやりたいことに協力してくれる人が増えたと思えば、チームメンバーを巻き込むことは、喜ばしい事なのではないでしょうか。

プレイングマネージャーという難しい役割を、楽しみながら乗り越えられる人が増えることを願っています。

 

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...
その仕事、部下に任せなさい。

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高野俊一 /
通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の...
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