その仕事、誰かに任せなさい!

任せ上手なリーダーは、部下の3つの「欲」を巧みに刺激している

2019.12.20 公式 その仕事、誰かに任せなさい! 第12回
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部下のやる気スイッチが見えない!
動機付けのすれ違い

部下の動機付け、悩みませんか?

部下の「やる気スイッチ」みたいなものがあって、それを押せば部下がやる気になるもの……。「そんなものがあったらなあ!」と心底願うくらい、今どきの部下のやる気はわかりにくくなっています。
任せる仕事の面白さや魅力を伝えても、いま一つ響かない、部下に対して暖簾(のれん)に腕押しするような「手応えのなさ」を感じることはないでしょうか?

・「自分(上司)だったら絶対にテンションが上がる」場面で、全然やる気を出さない。
・「ここで成果を出したら評価が上がる」チャンスで、全く燃えない。
・「こんなことを言われたら胸が震える」言葉が、少しも響かない。

こうした「動機付けの空回り」は、上司なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

では、どうして響かないのか……。
どうすれば、部下の胸を震わせることができるのか……。

この問題は、部下と上司の「動機付け欲求のズレ」によって起きています。

ただ、解決策はあります。
「動機付け欲求のズレ」を理解し、それを一致させるプロセスを学べば、たちまちかみ合った動機づけができるようになるのです。

今回は、仕事を任せるときの「動機付け欲求のズレ」を一致させ、部下をやる気にさせる「究極の動機付け方法」を紹介します。

3つの動機付け欲求
~上司と部下のズレを生む理由~

動機付け欲求は、大きく3つに分かれます。
① 1人称の欲求:自分のため——自分が成長したい、認められたい。
② 2人称の欲求:あなた(顧客・同僚)のため——お客様・仲間に良くなってほしい。
③ 3人称の欲求:誰か(社会)のため——世の中・社会がよくなってほしい。

1つずつ見てみましょう。

① 1人称の欲求:自分のため——自分が成長したい、認められたい。
仕事をしているほとんどの人は、この1人称の欲求です。(自分が)成長したい、(自分が)評価されたい、(自分の)給料を上げたい、(自分の)都合のいい状態を作りたい。いわば、利己的な欲求です。
しかし、利己的が悪いわけではありません。1人称の欲求を満たそうとすることが成長のエンジンになり、改善して行くエネルギーになります。ただし、「1人称の欲求のみ」の人が集まると、お互いが利害の主張をして対立したり、共通の目標を持てない状態になりがちです。仕事を任せる場面で言えば、上司が部下に仕事を覚えてもらいたいと思っても、部下は「それってボクに何の得があるんですか?」と関心が持てなかったり、「それは僕の仕事ではありません」と拒否されたり、渋々仕事を引き受けて「なんでオレがこの仕事しないといけないんだ」と愚痴をこぼしたりします。
つまり、1人称だけの組織では、仕事を任せる難易度がかなり上がります。

② 2人称の欲求:あなた(顧客・同僚)のため——お客様・仲間によくなってほしい。
「顧客によりよいサービスを提供したい」と思うのは、ビジネスマンとしてはごく自然なことです。しかし、意外にもこの視点が欠落している人が多いのです。セールスマンであれば、「自分の売り上げを上げること」に躍起になり、それで顧客の価値が提供できているのか、顧客によりよいサービスが提供できているかは全く考えていない、というケースです。知らずしらずのうちに、1人称の「自分の業績を上げたい」「自分の評価を上げたい」という欲求が大きくなりすぎて、2人称の「顧客」を見失ってしまうのです。
逆に、2人称の欲求を強くできれば、「顧客価値を高める」という共通の目標ができやすく、自然とチームワークが生まれます。また、一緒に働く同僚のために、自分の都合よりも組織の目標を優先する行動も見られるようになるので、仕事を任せるという意味での難易度はぐっと下がります。

③ 3人称の欲求:誰か(社会)のため——世の中・社会が良くなってほしい。
自分の仕事が「社会的に価値があるかどうか」は非常に重要な動機付けの要素です。会社や仕事に誇りを持つことができますし、世の中に貢献できているというのは、胸を張れる素晴らしいことです。しかし、これが動機付けに結びついているかというと、どうでしょうか。
周りに3人称の欲求で燃えている人はいるでしょうか?

この動機付け欲求、3つ全てを備えた人は、非常に強い使命感を持ちます。自分のためでもあり、顧客や仲間のためでもあり、社会のためでもある。自分をこの状態にできれば、動機付けは相当なパワーを持ちます。

あなたの部下は、何人称の欲求で働いていますか?
1人称のみの欲求になっていませんか?

さて、ここで質問です。

あなたは、何人称で動機付けしていますか?

3つの欲求を理解したうえで、どうすれば部下を動機付けできるのか、その方法を紐解いていきましょう。

→<次ページ:究極の動機付け方法~利己的欲求からアプローチせよ!~>

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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高野俊一 /
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その仕事、部下に任せなさい。

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