いつでも「仕事ください」って言える人がたくさんいたら安心、という話をしました。確かに安心は安心なのですが、ちょっと立ち止まってみます。
過去に仕事でご一緒した人に、久しぶりに会って、自分は仕事がなくてガチで困っていて、その相手に「仕事ください」って頭を下げるシーンを想像してみてください。
実際にそれで仕事を受注できるかどうかはさておき、「仕事ください」って言うという行為自体、ちょっとハードル高い、恥ずかしいと思いませんか。もっと言うと、ほんとに切羽詰まった(だけで)言えるようになるのかしら? と。
実は私、実際に自分から「仕事ください」と言ったことはありません(そして、いまだに言える気もしません)。逆説的に聞こえるかもしれませんが、重要なのは、実際に切羽詰まった時にこれを言えることではなく、これを言わなくて済むように、つまり切羽詰まらないようにすることだと考えています。
押売営業や宗教の勧誘が迷惑なのと同じで、仕事も、自分から営業をかけて取りに行くよりも、相手からお願いされて受注する方が望ましいです。要は、相手からお願いされるために、しっかりと仕込みをしておけば、自分から営業したり「仕事ください」って実際に頭を下げて人にお願いする必要もないのです。(そしてこれは予想でしかありませんが、ガチでお願いしても受注の成功率は低いと思います。押売営業を相手にしないのと同じ心理で)
では実際、私が普段どのように仕事を受注しているかと言うと、前述した半年に一度の連絡の中で、「実は今こういう仕事やってて、こういうのできる人探してるんだけど、末岐さんひま?」的な流れになって受注というのが圧倒的に多いです。
半年に一度の連絡もそうですが、実はもう一つ、仕込みをしています。
半年に一度の連絡では、忘れられないようにする、の他にも、自分ができることや状況を知っておいてもらう狙いもあります。これで第一段階はクリア。相手のニーズと自分のスキルや条件がマッチさえすれば、仕事を受注できます。
次に、相手から「お願い」してもらうための準備についてお話しします。
簡単に言うと、相手が「この仕事、末岐(私のことです)に頼みたいな」と思った時に、言い出しやすくしておくのです。そのためには、事前に、自分から、「またあなたと一緒に仕事がしたい」と意思表示しておくことです。
具体的には、まだ一緒に仕事をしているうちか、プロジェクトが終わった別れのタイミングで、「自分は吹けば飛ぶフリーランスなので、仕事なくて路頭に迷ってたらまた拾ってくれますか?」みたいな感じでちょっと冗談っぽく言うのです(注:テキストだと冗談っぽさが伝わりにくいので、直接会っている時に言う)。
これに対して「いや、もう無いっすわ」って返す人って少ないと思います。実際、私の経験でも「もちろん、こちらからも是非お願いします」というのがほとんどでした。まぁ、みんな大人なので、仕事でよほどご迷惑をかけていなければ、ほとんどの場合肯定してくれると思います。
これは、心理学の一貫性の法則を活用した「Yes取り」と呼ばれる手法で、一度自分で肯定したことは、否定しにくくなる、抵抗を感じにくくなる、という人の性質を利用したテクニックです。信頼関係を深めたり、相手にお願いを聞いてもらいやすくする効果があります。
ちょっと古い例えですが、タモさんが笑っていいともでお客さんに「そうですねー!」って言わせてるのをイメージしてもらえればわかりやすいですね。あれ、「そうですねー!」以外、言いにくいじゃないですか(笑)
書面に残っていなかろうが、本気じゃなかろうが、社交辞令だろうが、とにかく「また一緒に仕事してください」に対して自分が「Yes」と意思表示したという事実は、その人の潜在意識に残ります。すると、実際に仕事を依頼するにあたって、抵抗を感じにくくなるのです。加えて、私の方からも「また一緒に仕事してください」と言うウェルカムな姿勢を前面に出しています。
結果、何もしていない人に比べて、格段に仕事をお願いされやすくなります。これが、これといって目を引くようなスキルも愛嬌もないコミュ障な私でも、仕事が途切れにくい理由かなと、自己分析しています。
仕事で人と関わるたびに、半年に一度連絡する、「また一緒に仕事してください」ジャブを打っておく、を繰り返していくと、仕事を振ってくれる人が増え、受注の確率も上がっていきます。
やればやるほど、営業しなくても仕事が自然と舞い込んでくる最強仕事スタイルなのです。
余談ですが、関わった人が増えてくると半年に一度の連絡をしようにも、頭で覚えておくのに限界がやってきます。そもそも私は記憶力が良い方ではないので、プロジェクトが終わったタイミングで半年後のGoogleカレンダーに「○○さんに連絡」という予定を入れるようにしています。
忘れちゃったら、もったいないですからね。
・友達になるのではなく、忘れられないことを目指そう!
・半年に一回くらいの連絡がちょうどいい
・「また一緒に仕事してください」ジャブを打つべし!