こんな仕事絶対イヤだ!

哀愁漂うちびっ子の背中――小石拾い

2017.06.28 公式 こんな仕事絶対イヤだ! 第36回

巷では相も変わらず企業の労働環境に関するニュースが絶えませんが、歴史を紐解いてみれば、ブラックな職業は大昔から存在していました。そこで本連載では、古代・中世ヨーロッパや日本の江戸時代にまで遡り、洋の東西を問わず実在した超ブラックな驚くべき職業の数々を紹介していきます。あなた達は、本当のブラック職業を知らない……

ただひたすら石拾い、哀愁漂うちびっ子の背中

田舎の子供が農作業の手伝いをさせられる光景は、人類史上共通と言って過言ではないだろう。19世紀のイングランド東部、イースト・アングリアでもそれは同様だった。子供たちは『小石拾い』として、ひたすら単純労働に従事させられたのであった。お仕事内容は単純明快で、大方の予想通り、小石を拾うことだけだった。求人情報誌の「誰にでもできる簡単なお仕事です!」を超越する単純労働ここにあり、である。そのかわり、給料は激安だった。手桶一杯の小石につき1ペニー、つまり1ポンドの100分の1(当時の価値にして日本円で100~200円程度)しか貰えなかった。朝6時から夕方頃まで拘束されてこれだから、とんでもない超薄給である。

朝から昼過ぎまでは、数キロある農場の広大な敷地を歩きながら、40~50人のちびっ子たちが黙々と小石を拾い続ける。薄給でもこの仕事内容ならそこまでつらくないのでは? と考えるのは早計である。彼らの後ろにはムチを持った監督が控え、少しでも怠けたり仕事が遅かったりしたら容赦なくシバくのである。出来の悪い三文芝居のような光景が、現実としてそこにあった。桶いっぱいの石を拾い、農場に戻って石を処分すればその日の仕事はようやく終わりとなる。まさに、肉体労働者の悲哀を歌った『山谷ブルース』状態である。子供なのに。

現在では、こうした骨が折れる作業を人間に代わって農耕用機械が全てやってくれる。にもかかわらず、一部の地域において未だ子供の不法就労が無くならないのは、皮肉というほか無いだろう。

(illustration:斉藤剛史)


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プロフィール

清水謙太郎
清水謙太郎

1981年3月、東京都生まれ。成蹊大学卒業後にパソコン雑誌の編集を手がける。また、フリーライターとして文房具、自転車などの書籍のライティングや秋葉原のショップ取材等もこなし、多岐に渡る分野でマルチな才能を発揮している。

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金持ちの道楽として庭で飼われた「隠遁者」、貴族の吐いたゲロを素早く回収する...
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