頑張らないでやる気を出すコツ

“やる気”の「波」を上手に乗りこなす方法

2018.12.10 公式 頑張らないでやる気を出すコツ 第19回
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「準備運動」で、小さな「達成感」を得る

では、この「準備運動」にはどんな仕事が向いているのでしょうか?

「準備運動」に向いている仕事の条件は、単純作業であることです。皆さんが抱えている仕事には、さまざまな種類の仕事があると思いますが、中にはあまり頭を使わなくてもできるような仕事が1つくらいはあるはずです。さらには、なるべく優先順位が低く、今やらなくてもよいけれども、いつかはやらなければならないといった期限が曖昧な仕事がよいでしょう。

例えば、名刺や領収証の整理などがそうです。机の上やパソコンのデータなどの整理もいいと思います。普段、時間によほどの余裕がないとやらないようなこうした仕事が、優先順位が高い仕事から離れて、“やる気”の「波」がくるタイミングを計るためには適しているのです。また、これらの仕事は中断しても、また続きからやればよいという点も「準備運動」に向いています。

さらに、いくら単純作業であっても、これらも他ならぬ仕事なので、やり遂げると小さな「達成感」につながります。「達成感」を味わうために、やり遂げる「行動」の大きさや種類は関係ありません。そして「達成感」は、積み重ねると“やる気”の源にもなる大切な「感情」です。こうした、普段、無意識にこなしているような単純作業でも、“やる気”につながることがあるのです。そして、むしろコツコツやっておくと、その後の仕事によい影響が生まれることも考えられます。

実は、私自身にもこうした経験があります。引き受けたときには“やる気”があった仕事なのにもかかわらず、いざ期限が迫ってきてからやろうとしたときに、肝心な“やる気”が起きないのです。そんなとき、私の場合はオフィスの掃除という「準備運動」をして、“やる気”の波がくるタイミングを計るようにしています。こうして、さらに時間的に追い詰められたとしても、結果的には“やる気”の「波」がきて仕事がスムーズに進み、オフィスをきれいにしたという「達成感」も得られています。

どんな人も、常に同じように“やる気”を保てるわけではありません。他にやりたいことができたために、最初はやりたかったことに対しての“やる気”が遠のくこともあります。ですから、“やる気”をコントロールしようとすることも大切ですが、ときには、その「波」を上手に乗りこなすことも必要なのです。ぜひ覚えておきましょう。

次回に続く

 

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プロフィール

沖本るり子
沖本るり子

株式会社CHEERFUL代表。感情とコミュニケーションの上手な活用によって、人と組織を育成する専門家。数多くの企業研修を請け負う傍ら、合計7冊のビジネス書の出版実績も持つ。現在は主に人財育成をテーマとし、中小企業の組織活性化のサポートを行なっている。

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