こんにちは、感情コミュニケーション術専門家の沖本るり子です。今回のテーマは「自分と他人の正しい比較の仕方」です。一般的に、自分と他人を必要以上に比べると「焦り」や「嫉妬」などの負の感情が生まれるため、「自分は自分」と考えて、他人と「比較しない」方がよいと思われがちです。
しかし、これは間違いです。比較する相手を「偉大な人」にすれば、落ち込む原因になるどころか、自分の“やる気”を呼び起こすきっかけになるからです。そして、自分の殻を破って可能性を広げていくことにもつながるので、ぜひ覚えておきましょう。
皆さんにも、自分と他人の現状を比較したときに、自分の方が劣っていたために、気持ちが落ち込んだ経験があると思います。例えば、自分が仕事でミスをして周囲からの信頼を欠いてしまったようなときに、実績を評価されている同僚に目を向けると「どうして自分はうまくいかないのか?」という負の感情が生まれ、さらに気持ちが落ち込む原因になります。そのため、人間は思うようにいかないときほど、あえて他人と比較しないことで、少しでも“やる気”を保とうとしがちなのです。
ところが、自分と他人を比較することは決して悪いことではありません。むしろ、他人と比較をしないでいると、自分の“やる気”を刺激する機会を逃してしまいます。実際のところ、人間は、常に他人と比較されて生きています。人生の節目である受験や入社試験なども、いわば比較するためのものであり、その結果、今があります。人間は、自分と他人を比較して「今よりも上に行きたい」と思うからこそ成長できるのです。
実は、自分と他人を比較したときに落ち込むのは、皆さんが比較する相手を間違えているからです。例えば、職場の同僚や先輩など、同じ組織に在籍している「他人」は、その組織の事情や状況を共有しているがゆえに、現状に差があることに納得ができないのです。すなわち、自分の身近にいる「そこそこすごい人」と自分を比較するから、その現状に意識が向いてしまい、結果的に落ち込むことになるのです。
だからこそ、自分と他人を比較するときは、もっと「偉大な人」を相手にするべきなのです。心の底から憧れや尊敬の気持ちを持てるような他人と比べるのがコツです。あまりに遠い存在で、雲の上の人に思えるような相手でも構いません。広い視野を持って、世界中に目を向けてみて下さい。そうすると、自分にとっての「偉大な人」が必ずいるはずです。