人を育てるコツ

チームを編成する際に上司が気をつけるべきこと

2017.02.02 公式 人を育てるコツ 第5回
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犬猿の仲の部下同士を組ませた結果…

こんにちは。ロールジョブの大岩俊之です。今回は、リーダーにとって悩みのタネでもある「チームを編成する際に気をつけるべきこと」についてお話をします。仕事においてチームというのは、その質によって大きく結果に差が出ます。それゆえ、リーダーはプロジェクトを成功へと導くために、最適なチームを編成しなくてはなりません。一方で、プロジェクトの成功と同時に、そのプロジェクトを通して人材を育成するという視点も忘れてはなりません。部下の能力、性格、メンバー同士の相性などを踏まえ、最適なチームを作るにはどうすればいいのでしょうか。

以前、私の知人がある企業の地方の営業所で課長職に就いていたときがありました。そこでは、彼の部下であった、NさんとEさんという営業マンがおり、彼から聞いていた話では、この二人はまさに犬猿の仲だというのです。今回のテーマを書くにあたり、私はこの二人の話を思い出しました。

Nさんは、営業経験が長く、それなりの実績を上げている係長職で、営業・販売スキルは、問題ありません。Eさんは、営業以外の他部署から、移動により配属された一般職で、営業も初めての経験で、年齢も50代です。Eさんは、一生懸命仕事をしているのですが、営業成績はあまりよくありません。本人は、まわりに同情を求めるように、とにかく「仕事を頑張っている!」のアピールがすごく、周囲で迷惑がっている人もいる状態です。

しかし、そんなEさんの「仕事を一生懸命している!」というアピールが、Nさんはとても気に入らないようで、Nさんは明らかにEさんを嫌っており、仲が悪いのはすぐに分かります。Nさんの方が役職は上なのですが、NさんにとってEさんは先輩にあたり、年上でもあるため、遠慮している部分もあるため、物事を言いにくいとのことでした

そんなときに、ちょうど、二人でペアを組んで営業をしなければならない仕事が出てきました。上司である私の友人は、この機会をチャンスだと捉えました。二人の仲をどうにかしたいと思い、NさんとEさんをペアにすることにしたのです。

NさんとEさんは社会人経験も長い大人同士なので、仲が悪かったとしても、お互いに相談しながら仕事を進めてもらえると思っての判断でした。また、二人がこの案件を通して互いに歩み寄ってくれれば、チーム全体にとって間違いなくプラスになると思ったのです。

ところが、実際には、そのようにはなりませんでした。

二人は、しだいに仕事が進まないことを相手のせいにするようになり、影でお互いの悪口を言うようになってしまい、どんどん険悪なムードになってきました。この険悪なムードが、部署内の他の人たちにも影響し、チーム全体の士気が下がってきたのです。

どうやら、NさんとEさんをペアにしたことが問題らしく、この二人に任せた案件は、全く進みません。このままでは、チームの売上も下がるし、社内の雰囲気も悪くなるばかりです。

課長である私の友人は、大きな間違いをしていることに気がついたのです。

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プロフィール

大岩俊之
大岩俊之

理系出身で、最新のエレクトロニクスを愛する元営業マン。
大学卒業後、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験。いずれの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
独立起業を目指すなか、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。独立起業後、読書法やマインドマップ、記憶術などの能力開発セミナー講師をしながら、法人営業、営業同行、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として7,000人以上に指導してきた実績を持つ。年間200日以上登壇する人気講師として活躍している。
主な著書に、『格差社会を生き延びる“読書”という最大の武器』(アルファポリス)、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)、『1年目からうまくいく! セミナー講師超入門』(実務教育出版)などがある。

著書

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