すぐに使える営業の心理学

顧客が「次もあなたに会いたくなる」営業術――「1:5の法則と5:25の法則」

2018.12.20 公式 すぐに使える営業の心理学 第18回
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お客さまに嫌われる営業マンの特徴

私は、会社員の営業マンという立場から、今では、逆に企業の皆さんに研修をする立場となりました。研修の参加者には、営業マンと打ち合せをする立場にある技術設計担当者や、購買(調達)担当者がいます。講座中や休憩中の雑談などで、「二度と会いたくない営業マン」や、逆に「また会いたくなる営業マン」などをよく聞いたりしています。実際、普段から営業マンに会っている方の意見は、とても貴重です。

それによると、下記に紹介するような営業マンには、会いたくなくなるそうです。営業マンのみなさんは、くれぐれも下記の事項に注意して下さい。要するに、既存のお客さまからリピートで案件をもらうためには、ここで紹介をすることをやってはいけないのです。自分で自分をチェックするためにも、ぜひ覚えておきましょう。

1:売ったら終わりで、二度と顔を出しに来ない
売るまでは一生懸命で、お客さまが購入した途端、二度と顔を出さなくなるタイプです。また、新製品などが出て自分が売りたくなると、ちょうどいい時期に、また登場します。このタイプが、一番嫌われます。

お客さまに商品を販売したら、その後の様子をうかがいに行ったり、アフターフォロー営業もきちんとするように心掛けましょう。

2:お客さまが販売する商品の知識や、業界知識がない(法人営業の場合)
これは法人営業の場合ですが、お客さまとなる会社の業界の動向や競合などの状況は、知っていて当然です。お客さまが販売する商品も、自分がかかわっている部署だけではなく、すべて把握しておかなければなりません。

私は、営業マンになりたての頃、自分のお客さまが扱う商品について、仲のいい購買担当者から、いろいろと教えてもらっていました。ちょうどそんなとき、購買担当者が変わったにもかかわらず、普段と同じように、お客さまに教えてもらおうとしたのです。そうしたら、「営業マンのくせにそんなことも分からないのか!!」と、激怒されてしまった経験があります。その後あっという間に、お客さまの社内や同業社の間で話題となり、とても恥ずかしい思いをしたことがあります。

前任担当者に甘えていただけで、自分の考えが浅はかだったことを思い知らされました。

3:技術的な知識がない(相手が設計者などの場合)
お客さまである会社の設計担当者の窓口になるのは、営業マンです。お客さまは、直接、みなさんの会社の技術者や、商社であればメーカー担当者に連絡をしたりしません。ですので、営業マンに話が通じなければ、手間もかかりますし、時間もかかります。設計担当者からすると、すべてを知って欲しいとは思わないが、勉強をして欲しいという気持が強いようです。

私は理系出身のため、設計者と会うのは全く抵抗がありませんでした。さらには、エレクトロニクス技術が大好きだったため、「話が分かる営業マン」だと、かなり重宝されましたが、文系出身の人は努力をしないといけません。

これは、他の分野でも同じです。医療従事者に営業する場合は、お客さまに関連する分野の医療のことは、かなり詳しく知っていなければなりません。建築材料を営業する場合は、自分が販売する建築材料だけではなく、関連することを知っていなければなりません。例えば、キッチンを販売する人であれば、キッチンの機能を知っているのは当たり前で、さらには、家の構造から、設置工事の知識なども必要になってきます。

4: お客さまが知りたい情報を持ってこない
お客さまは自分の業界の動向、競合他社の状況、次世代の製品開発やその予定、流行・廃りなどの情報をとても知りたがっています。その業界の流れに沿って、商品を開発しようと考えるからです。中でも、他社の状況は、かなり気にされています。何でもペラペラとしゃべるのはよくありませんが、教えることができる範囲で、伝えてあげると大変喜ばれます。

お客さまの情報収集の一番のルートは、実は、営業マンなのです。その価値が分かっている営業マンは、こちらからアポを取らなくても、お客さまから呼ばれるようになります。普段から、情報収集能力が低く、情報がない人は、お客さまに相手にされなくなってしまいます。

5:人間的に信頼できない
メールの回答、見積書などを約束通りに提出しない人は、営業マン失格の前に、社会人失格です。さらには、会社のマニュアルにあるような機械的な対応しかできない人や、あと一歩、上司に掛け合ったりして努力しようとする気がない人、緊急時の動きが遅い人などは、はっきり言って嫌われます。

お客さまは、直接、面と向かってクレームは言わないので、自分で気が付くしかないのですが、お客さまにアポ取りの連絡をしたときなどに、だんだんと冷たくあしらわれるようになります。

仮に法人営業は企業と企業の取引ですが、商談をするのは人と人です。そこに介在する営業マンの人間性は、とても大切な要素となります。

以上の5つを意識して、少しでもお客さまに信頼され、リピートしてもらえる営業マンになりましょう。

次回に続く

 

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プロフィール

大岩俊之
大岩俊之

理系出身で、最新のエレクトロニクスを愛する元営業マン。
大学卒業後、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験。いずれの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
独立起業を目指すなか、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。独立起業後、読書法やマインドマップ、記憶術などの能力開発セミナー講師をしながら、法人営業、営業同行、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として7,000人以上に指導してきた実績を持つ。年間200日以上登壇する人気講師として活躍している。
主な著書に、『格差社会を生き延びる“読書”という最大の武器』(アルファポリス)、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)、『1年目からうまくいく! セミナー講師超入門』(実務教育出版)などがある。

著書

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