私は、会社員の営業マンという立場から、今では、逆に企業の皆さんに研修をする立場となりました。研修の参加者には、営業マンと打ち合せをする立場にある技術設計担当者や、購買(調達)担当者がいます。講座中や休憩中の雑談などで、「二度と会いたくない営業マン」や、逆に「また会いたくなる営業マン」などをよく聞いたりしています。実際、普段から営業マンに会っている方の意見は、とても貴重です。
それによると、下記に紹介するような営業マンには、会いたくなくなるそうです。営業マンのみなさんは、くれぐれも下記の事項に注意して下さい。要するに、既存のお客さまからリピートで案件をもらうためには、ここで紹介をすることをやってはいけないのです。自分で自分をチェックするためにも、ぜひ覚えておきましょう。
1:売ったら終わりで、二度と顔を出しに来ない
売るまでは一生懸命で、お客さまが購入した途端、二度と顔を出さなくなるタイプです。また、新製品などが出て自分が売りたくなると、ちょうどいい時期に、また登場します。このタイプが、一番嫌われます。
お客さまに商品を販売したら、その後の様子をうかがいに行ったり、アフターフォロー営業もきちんとするように心掛けましょう。
2:お客さまが販売する商品の知識や、業界知識がない(法人営業の場合)
これは法人営業の場合ですが、お客さまとなる会社の業界の動向や競合などの状況は、知っていて当然です。お客さまが販売する商品も、自分がかかわっている部署だけではなく、すべて把握しておかなければなりません。
私は、営業マンになりたての頃、自分のお客さまが扱う商品について、仲のいい購買担当者から、いろいろと教えてもらっていました。ちょうどそんなとき、購買担当者が変わったにもかかわらず、普段と同じように、お客さまに教えてもらおうとしたのです。そうしたら、「営業マンのくせにそんなことも分からないのか!!」と、激怒されてしまった経験があります。その後あっという間に、お客さまの社内や同業社の間で話題となり、とても恥ずかしい思いをしたことがあります。
前任担当者に甘えていただけで、自分の考えが浅はかだったことを思い知らされました。
3:技術的な知識がない(相手が設計者などの場合)
お客さまである会社の設計担当者の窓口になるのは、営業マンです。お客さまは、直接、みなさんの会社の技術者や、商社であればメーカー担当者に連絡をしたりしません。ですので、営業マンに話が通じなければ、手間もかかりますし、時間もかかります。設計担当者からすると、すべてを知って欲しいとは思わないが、勉強をして欲しいという気持が強いようです。
私は理系出身のため、設計者と会うのは全く抵抗がありませんでした。さらには、エレクトロニクス技術が大好きだったため、「話が分かる営業マン」だと、かなり重宝されましたが、文系出身の人は努力をしないといけません。
これは、他の分野でも同じです。医療従事者に営業する場合は、お客さまに関連する分野の医療のことは、かなり詳しく知っていなければなりません。建築材料を営業する場合は、自分が販売する建築材料だけではなく、関連することを知っていなければなりません。例えば、キッチンを販売する人であれば、キッチンの機能を知っているのは当たり前で、さらには、家の構造から、設置工事の知識なども必要になってきます。
4: お客さまが知りたい情報を持ってこない
お客さまは自分の業界の動向、競合他社の状況、次世代の製品開発やその予定、流行・廃りなどの情報をとても知りたがっています。その業界の流れに沿って、商品を開発しようと考えるからです。中でも、他社の状況は、かなり気にされています。何でもペラペラとしゃべるのはよくありませんが、教えることができる範囲で、伝えてあげると大変喜ばれます。
お客さまの情報収集の一番のルートは、実は、営業マンなのです。その価値が分かっている営業マンは、こちらからアポを取らなくても、お客さまから呼ばれるようになります。普段から、情報収集能力が低く、情報がない人は、お客さまに相手にされなくなってしまいます。
5:人間的に信頼できない
メールの回答、見積書などを約束通りに提出しない人は、営業マン失格の前に、社会人失格です。さらには、会社のマニュアルにあるような機械的な対応しかできない人や、あと一歩、上司に掛け合ったりして努力しようとする気がない人、緊急時の動きが遅い人などは、はっきり言って嫌われます。
お客さまは、直接、面と向かってクレームは言わないので、自分で気が付くしかないのですが、お客さまにアポ取りの連絡をしたときなどに、だんだんと冷たくあしらわれるようになります。
仮に法人営業は企業と企業の取引ですが、商談をするのは人と人です。そこに介在する営業マンの人間性は、とても大切な要素となります。
以上の5つを意識して、少しでもお客さまに信頼され、リピートしてもらえる営業マンになりましょう。
次回に続く