営業マンにとって、お客さまはとても大切な存在です。なるべく、お客さまに不快な思いをさせたくないという考えから、お客さまに対して、断りを入れることが非常に苦手だという人が多いのが実情です。
そのため、まずは「自分自身がどのように相手に主張するタイプなのか」を把握しておきましょう。ここで紹介する相手に主張するタイプは3つです。これは人によってハッキリと3つのタイプに分かれる訳ではなく、その人の中でドッカンタイプが60%、オロオロタイプが30%、ネッチリタイプが10%というように、混合型であることが多いです。
タイプ1:攻撃的なドッカンタイプ
人との関係を常に勝ち負けで考えて、絶対に相手に負けてはならないと思うタイプです。そのため、相手を見下すことで自分の優位さを証明し、相手の言い分や感情を軽視して、自分の要求を相手に押し付けようとする傾向があります。どちらかというと、相手に「ノー」と言う権利や自由さえ認めないため、周りは対立を恐れてビクビクしてしまいます。周りが、最初から意見を言うことをあきらめてしまうタイプです。
タイプ2:受け身的なオロオロタイプ
自分さえ我慢すればいいと感じており、自分の感情や要求をはっきりと表現せず、黙ってしまうか、相手に譲ることを選択してしまうタイプです。相手の気分を害することや対立を恐れて自分の感情に蓋をしてしまうため、人間関係に波風が立つことはないですが、不満を抱え込んでしまうためストレスもためやすいです。あいまいな表現をしたり自信のない態度をとったりして、周りの人をいらだたせてしまうこともあります。
タイプ3:作為的なネッチリタイプ
表立って事を荒立てたりはしないですが、ちゃんと仕返しをするいやらしいタイプです。正面切って人と対立することがない代わりに、周りの人間を巻き込んで相手に罪の意識をもたせることで、自分の手に入れたいものを得ようとします。陰でイヤミや悪口を言うので周りは傷つきますが、証拠がないので本人を責めることはできません。心の中では相手を攻撃したり見下したりしている場合が多いです。
ここで、営業マンが実際に遭遇しやすい下記のようなケースを考えてみましょう。どのようにして、アサーティブな断り方をすればいいのでしょうか。みなさんも考えてみて下さい。
よくある実際のケース:
次の予定があるのに、取引先との打ち合せが長引いてしまい、なかなか切り上げられません。どうすれば、不快な思いをさせず、上手に切り上げられるでしょうか?
まずは、間違えやすい、ついやってしまいがちな断り方(悪い例)です。
タイプ1:攻撃的なドッカンタイプ
「なんでみなさん、そんなにダラダラと話を続けるのですか!」と相手に一方的に感情をぶつけてしまいます。これでは、後味が悪いですよね。
タイプ2:受け身的なオロオロタイプ
「あの~、すいません、そろそろ時間なのですが……」とビクビクしながら言います。話自体は伝わりますが、なんだかスッキリしません。
タイプ3:作為的なネッチリタイプ
口では何も言わず、ペンを机にトントンと打ち付けていら立ちを表現したり、資料を片付け始めたりして、急いでいることをアピールします。相手が気づいてくれればいいのですが……。
相手に不快な思いをさせないアサーティブな断り方は、このようになります。
「そろそろ1時間経ちましたので、今日はこのあたりで終わりにしませんか。」と率直に堂々と述べることです。
ポイントは3つあります。
1つ目は、感情を入れずに事実を伝えることです。
「1時間経った」ということを、そのまま伝えます。事実を伝えることで、相手が気づいてくれることもあります。大事なのは「きちんと時間を守ってくれないと困る」などと、自分の感情を入れないことです。
2つ目は、へりくだったり、高圧的にならないことです。
お客さまだからといって、「申し訳ありませんが」などとへりくだらないことです。しかし、逆に「もう1時間経っているじゃないですか!」などと、高圧的になってもいけません。冷静に対処しましょう。
3つ目は、代替え案を提示することです。
「今日はこのあたりで」とだけ伝えていますが、「この続きは次回の○日で」と言ったり、「足りない部分はメールでやり取りしましょう」などと、何らかの代替え案を提案するのも重要です。
この3つポイントを意識することで、相手に不快な思いをさせず、上手に断ることができるようになります。できるだけ、感情的にならないように注意して下さい。自分の要求や意見を、相手の権利を侵害することなく 誠実に、率直に、対等に表現すればいいのです。ぜひ実践してみてください。
次回に続く