現代の営業マンは、無難な仕事ばかりをする傾向にあります。あまり無理をしません。ですが、正攻法では門前払いになったとしても、別の突破口を探すことで、状況が変わることがあります。常に、思い切った顧客の開拓にチャレンジする姿勢を持ち続けて下さい。それにはやはり、「ハロー効果」を意識して、認知誤差に気を付けながら営業をすることが大前提となります。
ポイントは、旧態依然とした根性論ではなく、いかに現代風に新たな切り口を見つけて営業の突破口を開くかです。それを日々考えることが重要になってきます。
ここでは、私が行なってきた5つの考え方をお伝えします。
1:実際に足を運ぶ前から判断しない(諦める理由を探さない)
これは基本中の基本ですが、何もしていないうちから無理だと決めつけないことです。
やってもいないうちから、「○○はできない」と言う人は多いですよね。営業の基本は、お客さまに会うことです。世間的に攻略が難しいと思われている優良企業であっても、話を聞く前から勝手なイメージで判断してはいけません。まずは、「どうしたらお客さまに会えるか?」を考えて下さい。
2:大企業は、1回の訪問だけではすべては分からない
大企業を1回訪問して感触がないと、「無理」「需要がない」「敷居が高い」などと判断してしまいがちです。ですが大企業には、たくさんの部署があり、やっていることがそれぞれ違います。1回の訪問では、たくさんの部署の中の1つを知ったに過ぎません。「無理」「需要がない」などと判断するのは、せめて、複数の部署を知った後でも遅くはありません。いろいろな部署の人に会うまで、あきらめないで下さい。
3:取引先の紹介など、コネを利用する
突然、営業電話をして会ってくれるような会社は、いまやほとんどなくなりました。新しい企業に入り込む時には、誰かに紹介してもらうのが得策です。取引先や仕入れ先などをあたって、新規の顧客開拓に入り込む余地がないかを常に考えて下さい。表から攻めてダメでも裏から入ると、話を聞いてもらえるということは多々あります。
ただし、いきなりいい話が舞い込んでくることなどないので、普段から取引先や仕入れ先と会う度に、「○○会社に入り込みたいのだけど、知り合いはいないですか?」などと、意識的に声がけをしておくことです。このようなことを繰り返していると、あるとき突如新規の顧客を紹介してもらえることもあります。つまり、日頃の種まきが大切ということです。
4:既存品を組み合わせたり、新しく製品開発する気持ちを持つ
いろいろな手段を使って、大企業の担当者と会うことができたとします。そこで、今までの営業のように、カタログに載っているような既存商品を紹介しているようでは、その先はありません。カタログに載っているような汎用品は競合が存在しており、他社が既に入り込んでいることが多いものです。他社から自社に切り替えようとすると、価格競争に巻き込まれてしまいます。
私の経験では、競合他社より安い見積りを提出したにもかかわらず、採用製品が換わることはほとんどありませんでした。大企業は、実績のない会社を、値段が安いだけで簡単に採用するわけはありません。結局は現在、採用している会社の値段を下げるための材料を作っただけで終わってしまい、これではその製品の市場価値を下げるだけになってしまいます。
それよりも、お客さまの話をキッチリと聞くことで、顕在ニーズはもちろん、潜在的なニーズを探すのです。商品と商品を組み合わせて、角度を変えた商品を提案したり、お客さまに役に立つ、今までになかった製品を新しく開発するなど、営業の方法を工夫しましょう。今はもう、ありきたりの営業では通用しなくなってきています。
5:中小企業は、目に見えないところまで注意深く観察する
大企業に入り込むことができると、取引実績にもなりますし、大きな売上が見込めるため、どの営業マンも一生懸命です。ですが、中小企業は、あまり大きな取引に発展することが少ないため、営業マンも顔を出すことが少ないものです。そのためか、私は過去に数回顔を出しただけで、すんなり他社から切り替えてもらうことができた経験が多々あります。
中小企業の攻略で大切なのは、1回の仕事の先の部分です。その中小企業に採用してもらった商品が1つのパーツになり、大企業に納品されているなどということもあるからです。もしそれがわかれば、その先の大企業に対しても、何らか新しい営業の突破口が見出せる可能性が出てきます。だからこそ、中小企業を侮ってはいけないのです。新規開拓は、既存顧客の「その先」にもあることを覚えておきましょう。
また、市場に出回っている製品は、競合他社の設計者が中身を分解して調べることがあります。そこに、自社の商品が搭載されていたおかげで、大企業から私に連絡があり、別の製品に採用されたという経験もあります。中小企業は規模が小さいというだけで、そこに大きな潜在需要がないと決めつけないことです。
つまり、人を見た目で判断してはいけないように、会社も見た目で判断してはいけないのです。頭でっかちでのイメージで顧客の現状を決めつけるのではなく、まずは、新たな突破口を見つける行動をすることを心がけましょう。優れた営業マンほど、この「ハロー効果」を意識して、顧客の新規開拓に常にチャレンジしているのです。
次回に続く