私が会社員時代に扱っていた電子部品の1つに、コネクターがあります。ほとんどの方は目にすることはないのですが、冷蔵庫、テレビ、ビデオカメラなど、電気が流れる製品にはほとんど採用されています。
簡単に言うと、基盤と基盤を接続するためのもので、組み立てをしやすくしたり、配線をしやすくしたり、修理をしやすくしたりするために存在している部品です。
私が担当していたAV情報機器メーカーは、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラの小型化を進めているところでした。それに合わせて、採用されている部品も小型化をすることが目標でした。コネクターも少しでも小さくなったうえで性能が変わらなければ、クライアントさんからは非常に重宝されます。
私は営業マンをしていた頃、お客さまのニーズを聞き出し、その用途に合った製品を一緒に開発しながら、お互いに成長していくプロセスを経験してきました。提案する商品も、お客さまの悩みが解決できたり、未来の目標とする姿を実現できる製品であれば、購入してもらえるのです。
勘違いをしている営業マンが多いのですが、商品をただ説明するだけでは、お客さまには買ってもらえません。「お客さまが求めている未来の姿」をイメージしてもらえなければ、興味すら抱いてくれません。当然、営業マンはそれを実際に購入していただくわけですから、より具体的な未来を描いてもらえるようなプレゼンが必要になります。
「この商品があれば、こんなことがこんな風に変わりますよ」
「この商品があれば、今までよりもこんなに便利になりますよ」
「その空いた時間で、こんなことやあんなことができませんか?」
といったように、具体的なイメージをお客さまに描いてもらうのです。そのためには、お客さまのニーズを徹底的に聞き出すことが大切です。そのニーズを聞き出す時は、このような質問をしてみてください。
●未来を想像させる質問例
「将来、どうなったらいいとお考えですか?」
「どうしたら、○○さんの考える問題が解決できそうですか?」
「○○さんの考える理想の姿は、どんな感じですか?」
現実的であるか、実現可能であるかどうかは関係ありません。理想の姿を、どんどんイメージしてもらうのです。お客さまのニーズを聞き出し、そのニーズに合わせた提案をするためには、お客さまが描く理想の姿が広がれば広がるほどいいのです。
より深く聞き出すために、このような質問も加えてみましょう!
●より深くする質問例
「具体的には、どんな感じですか?」
「何か見えている姿はありますか?」
「何か声や音が聞こえていたりしますか?」
「身体で感じている感覚はありますか?」
理想の姿をもっと膨らませるために、イメージや聞こえる音、感覚など言語化してもらうのです。人によっては、イメージがどんどん出てくる人もいれば、聞こえる音などが出てくる人もいます。
そして、次の質問が大切です。
●具体的に深掘りする質問例
「なぜ、そのような理想の姿を求めているのですか?」
「なぜ、その悩みを解決したいのですか?」
この理由を聞くことで、お客さまは「なぜ問題を解決したいのか」「なぜ悩みを解決したいのか」がハッキリしてきます。
私が半導体商社にいた時代、自動車部品メーカーを担当していたときのお客さまの悩みは、半導体メモリの日本企業の撤退が続き、一般的な商品とは違う、自動車載専用の仕様を満たす半導体メモリ(低温、高温でも動作するなど)の安定した供給でした。値段ではなく、品質と安定供給が要望だったのです。
よって私の勤める商社側が数ヶ月先までの在庫を確保し、安定した供給をする約束ができたことで、値段は高めでも取引を成立させることができました。ここまでお客さまの理想の姿や、未来の姿、現在の悩み、解決したい問題が分かれば、そのニーズを満たすことができる商品やサービスを提案すればいいのです。
具体的には、メーカーであれば設計開発者の同行、商社であればメーカー同行、サービスなどであれば企画担当者の同行などをするのがいいでしょう。
このように、新人だからといって、やみくもに売りたい商品を提案するだけでは、商品は売れません。ぜひ、「お客さまの理想の未来」「悩みが解決された未来」を聞き出し、その解決に向けた商品提案をするようにしましょう。
次回に続く