入社1年目の営業スキル

営業マンの目標設定は「SMART」の法則で

2017.12.07 公式 入社1年目の営業スキル 第19回
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「SMARTの法則」に合わせた目標設定とは

SMARTの法則に合わせ、「ダメな目標設定」と「よい目標設定」を例に出して話しを進めていきます。

例)
ダメな目標設定:昨年より、多くのお客さまを訪問する
よい目標設定:半期(6ヶ月)の売上げ目標3000万円の達成

ダメな目標設定は、なんとなく曖昧なのは分かりますが、よい目標設定のケースでも、この目標設定を見ただけでは、実際にこの目標が達成できるのか、できないのか、設定自体が合っているのか、合っていないのか分かりません。「SMARTの法則」に基づいて、チェックをしていきましょう。

①Specific(目標が明確、具体的)
どのような目的があって、目標を設定したか、その内容は具体的になっているかです。

●例1のダメな目標設定の場合、新しいお客さまを獲得するために、新規の顧客を重点的に訪問するのか、既存のお客さまの訪問回数を増やすことで、潜在的なニーズを見つけるのか、方法論を明確にする必要があります。例えば、「新規のお客さまとの取引を増やすため、昨年より、多くの新規顧客を訪問する」とした方が、具体的になります。

●例1のよい目標設定の場合、内容は明確です。しかし、半期で3000万円という数字は、会社の目標やビジョンに合わせて設定したのか、自分への負荷を増やし、成長するために設定したのかなど、数字に対する目的を明確にすることで、より具体的な目標になります。

②Measurable(測定可能な)
数字で表せば、たいていは測定可能となります。誰が見ても可否の判断できるようにしないといけません。

●例1のダメな目標設定の場合は、昨年より多くといっても、「どれくらい多いのか?」「その件数は何件なのか?」など、誰が見ても分かるよう数字に表さないといけません。この場合であれば、昨年が「月に100件」ならば、今年は、「月に120件」で1.2倍などと、きちんと測定できる数字にします。

●例1のよい目標設定の場合、具体的な数字が明確なので、これで目標が達成できたか、できなかったのかは、誰でも測定をすることが可能です。

③Achievable(達成可能な)
達成ができる目標かどうかです。達成が難しい目標では、やる気が失せてしまいます。

●例1のダメな目標設定の場合、目標自体が曖昧なため、昨年よりも訪問件数が増えれば、目標が達成されたということができますが、このような曖昧な目標設定では、会社に認めてもらえません。前述のように、昨年が「月に100件」でしたら、今年は、「月に120件」で1.2倍と数字に表すことになります。

ですが、問題なのはこの「月に120件」が達成できる数字かどうかなのです。月に20日稼働で、1日6件の訪問です。1件あたり、商談時間が15分と短い「御用聞き」のような営業スタイルであれば可能な数字ですが、私が営業マン時代に経験していた提案企画営業では、1回の商談が1時間はかかりますし、社内準備も多いため、現実的には難しい数字となります。

●例1のよい目標設の場合は、Realistic(現実的な)とも関連してきますが、「半期(6ヶ月)の売上げ目標3000万円」というのは、達成可能かどうかということです。

会社にもよりますが、上層部から部に売上予算が割り振られ、それを課ごとに分け、個人に割り振られるということがあります。昨年の実績が、「半期で売上げ1000万円」だった場合、今年は、新しく成約した案件が増えていなければ、「半期で売上げ3000万円」という目標数字自体に無理があると言えます。この場合は、再度、上司と話し合いをする必要があります。

私は、電子部品の商社時代、半期で数億円売上げていた仕入れ先との契約が終わることが確実だったにもかかわらず、部の予算が足りないからと、予算を組まれてしまい、大変なことになった経験があります。最初から達成が難しい数字の場合は、自分自身の士気にも影響してきますので、しっかり上司と話し合いましょう。

④Realistic(現実的な)
現実的な目標かどうかです。社内評価を上げたいからと、現実的ではない数字目標を立ててしまうことがあります。

●例1のダメな目標設定の場合、昨年が「月に100件」に対して、今年は、「月に200件」で2倍と、非現実的な数字にしてしまうケースです。月に200件であれば、1日に10件の訪問が必要です。配達兼営業のような配達が中心のルートセールスでない限り、難しい数字です。

●例1のよい目標設定の場合、扱う商品によっては「1000万円」が限界なケースもあります。そんな時に、「3000万円」と無理な目標設定をしてしまうと、現実的ではありません。無理をした目標ではないかを確認します。

⑤Time-bound(期限のある)
必ず、「いつまでに達成する目標なのか?」と、期限、日付を設定します。

●例1のダメな目標設定の場合、この目標には、期限がありません。1ヶ月単位で、昨年より多くのお客さまを訪問する目標設定なのか、6ヶ月単位の合計で、昨年より多くのお客さまを訪問するのかが見えません。

●例1のよい目標設定、6ヶ月で達成するという期限があります。毎月、目標数字を設定して、1ヶ月単位で目標を達成していく方法や、6ヶ月という長いスパンで見て、目標数字を達成していく方法など、さまざまです。

会社から、1ヶ月単位で設定するように指示される場合もありますし、会社からの指示がなくても、1ヶ月単位で目標数字を設定している人もいます。期限が明確になっているので、向かう方向が明確になっています。

このように、目標を「SMARTの法則」に合わせて設定することで、誰が見ても分かりやすく、きちんと評価できる内容になるのです。これによって、業務上で自分が向かう方向が明確化されるため、営業マンの目標が達成しやすくなるのです。

次回に続く

 

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プロフィール

大岩俊之
大岩俊之

理系出身で、最新のエレクトロニクスを愛する元営業マン。
大学卒業後、電子部品メーカー、半導体商社など4社で法人営業を経験。いずれの会社でも、必ず前年比150%以上の営業数字を達成。200人中1位の売上実績を持つ。
独立起業を目指すなか、「成功者はみな読書家」というフレーズを見つけ、年間300冊以上の本を読むようになる。独立起業後、読書法やマインドマップ、記憶術などの能力開発セミナー講師をしながら、法人営業、営業同行、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として7,000人以上に指導してきた実績を持つ。年間200日以上登壇する人気講師として活躍している。
主な著書に、『格差社会を生き延びる“読書”という最大の武器』(アルファポリス)、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)、『1年目からうまくいく! セミナー講師超入門』(実務教育出版)などがある。

著書

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