保険の営業マンをしている社会人3年目の男性ですが、仕事の成績が上がらず困っています。社内の事務作業などは完璧に近い形でできるのですが、とりわけ本来の業務である営業の成績が思うように上がりません。もちろんプレゼンも下手なのだと思いますが、その前にお客様とのコミュニケーションが上手ではないのだと思います。自分では一生懸命雑談をしているつもりでも、話がすぐに途切れてしまうことも多く、本来自分自身を売るはずの営業マンが、会社の信頼と商品のよさで何とか繋いでいる感じが自分でも否めません。書店でビジネス書なども買って読んだりしていますが、なかなか一朝一夕にはいかず、正直悩んでいます。
仕事自体は好きですし、多くの人と触れ合うことも、本当は大好きなのですが、実はこういう仕事は私には向いていないのでしょうか? お恥ずかしい相談ですが、何かいいアドバイスがあれば是非よろしくお願いします。
営業職(生命保険会社勤務) / 26歳 / 男性
保険の営業マンをされているとのこと。私自身、日頃から保険にはお世話になっており、ときどき担当の営業の方とお話をすることがありますが、本当に休みなく働いておられ、大変な激務やノルマをこなされていると、いつも驚き感心をしております。そんなお仕事を続けて3年目を迎えられるあなたに、心からエールを送りたいと思います。
さて、お悩みを拝見させて頂きました。お客様とのコミュニケーションに不安を感じているご様子ですね。きっと真剣に仕事と向き合われ、さらなる向上心を持っているからこそ、悩まれているのだと思います。正直な自己分析をし、自分自身の欠点を認め、その欠点を補おうとするあなたの姿勢は、本当に尊いものだと思います。お悩み相談のメールから、あなたの人柄も感じられ、何かお力になりたいと心から思いました。微々たる力にしかなれないかもしれませんが、お話を聞いて頂ければ幸いです。
私は、今のあなたを花に喩えると、まさに花が咲く前のつぼみの時期だと思います。今の仕事が好きで、多くの人と触れ合うことも好き。そして、コミュニケーションの力を磨こうと書店でビジネス書を購入されコツコツ頑張っているあなたが、報われないはずがありません。結果というのはすぐに出ないこともあるので、今後も仕事への情熱を持ち、努力を続けてもらいたいと思います。いつか必ず花開くときがくるはずです。
しかし、2つほど注意しなければならないこともあります。
1つは、努力の矛先です。まずコミュニケーション能力の向上についていえば、これは実践や経験がすべてです。参考書もよいのですが、もし可能ならば、仕事とは関係のない趣味や興味のある習いごとなどのコミュニティに加わり、大勢の方とお話する機会を持つ努力をしてみて下さい。そうすることで自然とコミュニケーション能力が身に付いてくると思います。私の場合、社会人になりたての頃、よく1人で立ち呑み屋さんに通いました。カウンターで横になった方とちょっとぶつかったことをきっかけにお話をしてみたり、いろいろなお話を聞かせて頂きました。利害関係もないので、とてもリラックスしてお話できました。もしよければ試してみて下さい(笑)。
また、営業マンとして、お客様とコミュニケーションを取らなければならないということに囚われ過ぎる必要はありません。お客様にはさまざまなタイプの方がいらっしゃいます。中には、あまり話すことが好きではない方もいます。雑談もむやみにすればよいというわけではありません。このことも頭の片隅に置いておいて下さい。
もう1つの注意点は、あなたの長所です。あなたの営業マンとしての長所は何だと思いますか? これは重要なポイントです。短所を発見し、それを克服することも大事ですが、私はあなたの長所を伸ばすことの方がさらに大事だと思います。
ここで「離欲」(りよく)という仏教用語を紹介します。これは字だけを見ると「欲から離れること」と解釈されがちですが、実際は「執着から離れること」を意味します。
何も周りの営業マンや従来の営業マンのスタイルにこだわる(執着する)必要はないのです。あなたの長所を伸ばし、あなたらしい自由な営業スタイルを構築しても構わないのです。極端な話、必要以上にコミュニケーションが上手ではない営業マンがいてもよいのです。その分、他の営業マンにはない力を発揮すればいいのです。
あなたは今の仕事に向いているのか不向きなのかを不安に思っていると思いますが、向き・不向きなど考えなくていいと思います。むしろ、私はあなたなら仕事を「自分向き」にすることができると思います。これはあなたの人柄だからこそお伝えできることです。どうぞこのような思いで努力を続けてみて下さい。
心より応援しております。
協力:寺子屋ブッダ