この教えを取り入れて考えると、世の中の流れを無理に捕まえようとしたり、便乗したりすることよりも、「自己こそ自分の主である」という教えにあるように、自分にとって心地よい立ち位置や過ごし方を見つけることの方が大切だと気付くはずです。
世間と無理に付き合おうとすれば、それは本心とは異なる判断や行動で生活することになり、生き辛さを感じてしまうことになるでしょう。
これは「周囲(他人)や世間が自分の主」となっていることを意味します。
大事なことは、「自分にとって必要なものは何か」ということを一つひとつ確認しながら自分ならではの生活の土台を築いていくことだと思うのです。
これが「自己をととのえる」ということではないでしょうか。
実は、世の中が自分に冷たいと感じるのは、「自己をよくととのえる」工程作業の途中にいると考えられると思うのです。
しかしこの工程は、不必要なものを切り捨てていくような作業なので、あたかも孤立しているかのように錯覚してしまい、冷たさを感じてしまうのではないでしょうか。
ただ、この考え方を持つことで、周囲を気にして、嫌な思いや寂しい感情を抱くことも和らいでくるのではないかと思います。
そして、さらに踏み込んで考えてみると、自分が世間に冷たくできるのであれば、逆に温かくすることもできるということにならないでしょうか。
具体的には、心に余裕があれば世間で騒がれているようなことに興味を示してみたり、自分の生活にもそれを適度に取り入れてあげることです。
このようにして世の中に対する温度調節は自分で出来るはずです。
これが「自己こそ自分の主である」という教えのもう一つのメッセージです。「坂」が見方次第では、上り坂にも下り坂にもなるように、世間についても自分の見方や距離間でいかようにも感じ方を変えることもできると思うのです。
「自分が軸である」ということを意識して世間を見るような心持ちで過ごしてみて下さい。
そうすれば、自然と世間に対する温度調整ができるようになるはずです。
次回に続く