人生100年時代を幸せに生きる明日への一歩

何でも悲観的になってしまうのは、実は「心地よい生活のバランス」の証明

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仏教の「中道」という考え方を知る

楽観的と悲観的をおもちゃの「やじろべえ」で考えると、人はどうしても物事に対して期待を込めて楽観的な方向に傾いてしまうものです。だからこそ、物事に暗い考えを持つくらいが、バランスを整えるのにちょうどよいのです。

仏教には「中道」という教えがあります。これは、相互に対立する二つの極端な立場もしくはどちらかに偏る物事の捉え方から離れた立場をいいます。

仏教の開祖であるお釈尊さま自身、苦行主義と快楽主義のどちらにも偏ることなく悟りを体得されたと言われています。これは、生活においても、どのような状況に直面しようとも、偏らない判断のバランスを保っていくことの大切さを示唆しています。

「何でも悲観的になってしまう」というのは、この「中道」のバランスを調整しようとしているのです。換言すれば、「物事を正しく冷静に受けとめることのできる心構え」ができているということなのです。

実は心地よい生活

バランスの保たれた捉え方は、穏やかな生活をもたらす重要な役割を担います。それは、「疲れ」というものを軽減させることです。

過ごしやすい生活をする上で大事になるのが、いかに「疲れ」を感じず、心地よい気持ち続けるかだと思います。この「疲れ」を左右する大きな要因が「人の心の揺れ動き」です。

人の心は、状況に応じて喜怒哀楽の中で常に変容します。喜んでいたかと思えば、怒って暴言を吐いたり……。悲しくて泣いていたと思ったら、笑っていたり……。さまざまな感情に次から次へと飛び移っていくサイクルです。

問題となるのは、感情だけの変容ならまだしも、感情には必ず行動が伴い、大きなエネルギーを浪費してしまうことです。感情が大きいと、エネルギーもさらに大きくなります。これほど疲れることはありません。

「悲観的になる」ということは、「人の心の揺れ動き」を小さくし、物事の善し悪しによって、感情も行動も大きく左右されないことを意味します。余計に物事に期待したり、不安を感じることもないので、感情に振り回されて疲れることも少なくなるのです。

暗く寂しい捉え方というのは、無意識にも自分の心地よい生活を実践していることなのです。周囲には少し冷たいように思われるかもしれませんが、この生活習慣を変える必要はないのです。自分が心地よいと思うで方法で一日一日を過ごされて下さい。

次回に続く

 

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺 住職
著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『あなたは、あなた。』(アルファポリス)『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社) 『小さな幸せの見つけ方』(アルファポリス)など多数。

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