いまだ記憶に新しい2017シーズンの屈辱的な戦績。ドン底まで低迷したチームを立て直すべく舞い戻った小川監督は、宮本慎也ヘッドコーチを要に据えたチーム改革を断行した。ハードワークに見られる「厳しさ」の追求は、選手達の意識をどのように変え、チームにどんな変化をもたらしているのか――。インタビュアーにライター長谷川晶一氏を迎え、小川監督のスワローズ改革に迫っていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――クライマックスシリーズ(CS)から、およそ一カ月が経過し、現在は松山での秋季キャンプの真っ只中です。現在の心境を教えていただけますか?
小川 もう、「来年に向けて」の思いが完全に強いですね。シーズンが終わってホッとしたというよりも、CSでの負け方があんな最後だったので、気持ちは完全に来季に向かっています。
――今おっしゃった、「あんな負け方」について伺います。巨人とのCS2連戦は2敗という結果に終わりました。どのように振り返りますか?
小川 最初の試合で、巨人先発の今村(信貴)を打ち崩せなかったことが最大の敗因だと思います。2戦目に先発の菅野(智之)に、いいピッチングをされるというのは、ある程度は覚悟していました。とは言っても、まさかノーヒットノーランとは思いませんでしたが……。そうなると、最初の試合で今村を何としてでも攻略しなければいけなかったのに、それができなかった。それが最大の敗因です。
――初戦の先発を小川泰弘投手、2戦目を原樹理投手というのは、この二人が「今のうちのベストだ」という考えからの起用ですよね?
小川 そうです。だからこそ、初戦の小川で確実に勝ち星を拾わなければいけなかった。でも、結果的には反省すべき点ばかりの試合となりました。
――その「反省すべき点」を具体的に教えていただけますか?
小川 一例を挙げれば、初戦の1回表一死後、二番の田中俊太がフォアボールで出塁した後、三番・マギーの打席で初球をスチールしましたね。あれは見事に走られました。でも、試合前のミーティングでは、この点についても、きちんと話し合っていたんです。
――どのような内容だったのですか?
小川 巨人は3位からの下克上を目指していたわけです。そうなると、「何かを仕掛けてくるだろう」ということは予想していました。だからこそ、「走者が出たらきちんとクイックする」とか、「走者には万全の警戒をする」と決めていたのに、初球のクイックが甘かった。そして、走られた。でも、それぞれが自分のやるべきことをしっかりとできていれば、そう簡単にはセーフにはならないんです。「凡事徹底」というのか、こういう小さいところの差が出ました。