いまだ記憶に新しい2017シーズンの屈辱的な戦績。ドン底まで低迷したチームを立て直すべく舞い戻った小川監督は、宮本慎也ヘッドコーチを要に据えたチーム改革を断行した。ハードワークに見られる「厳しさ」の追求は、選手達の意識をどのように変え、チームにどんな変化をもたらしているのか――。インタビュアーにライター長谷川晶一氏を迎え、小川監督のスワローズ改革に迫っていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――オールスターゲームも終わり、後半戦が始まりました。猛暑の中、勝負の8月がやってきますが、「夏場の戦い」について、どのような展望をお持ちですか?
小川 湿度も高い状態で暑い日が続くと、当然、選手たちの疲労もピークに達すると思います。選手の体調については、本人の自覚はもちろんですけど、我々が環境作りをしてあげないといけないと思います。たとえば、今年から日本球界に復帰した青木(宣親)には、久々の日本の夏に対して、万全のサポートをしてあげる必要があると思っています。
――これまでも、連戦が続く際に青木選手やバレンティン選手に休養を与えた試合もありました。あるいは前半戦終盤には、小川泰弘投手を休ませるべく、あえて登録抹消したこともありました。目の前の一勝にこだわる姿勢と、シーズン全般を見通した長期的展望。このバランスはどのようにとっているのですか?
小川 それらのバランスについては、常に頭を悩ませている問題ですね。それでも、長いシーズンを戦う上では、どこかで僕らが決断しなければいけないと思うんです。たとえば、今話に出た小川を抹消する件についても、「こんな大事な時期に休ませてもいいのか?」という意見もあるでしょう。でも、彼のコンディションを考えたときに、あの時期にあえて休ませるということは、今後を見据えた場合にチームにとって必要なことだと考えました。
――ペナントレースの行方を左右する8月、9月に万全の状態で臨んでもらうために、あえてあの時期に小川投手に休養を与えたわけですね。
小川 オールスターブレイクを利用すれば、ローテーションを外れるのは1回で済みます。だから、あの時期に登録を抹消しました。小川のようなレベルの投手の場合は、「ローテーションをきちんと守る」ということが大切なのではなく、「ローテーションを守った上で、試合に勝つ」ということが求められるんです。
――ローテーションの主軸である小川投手の場合は、ただ投げるだけではなく、「勝利」という結果が求められるということですね。
小川 そうです。勝つことではじめて、「小川泰弘」というピッチャーは評価されるんです。ならば、そのためには我々首脳陣がきちんと、その環境を作ってあげなければいけない。それは決して、「目の前の一勝」をあきらめるということではなく、「ペナントレースに勝つ」という最大の目標達成に必要なことだと、僕は考えています。