――「執念」が大切だということは理解できますが、実際にすぐに効果が出るものなのでしょうか?
小川 もちろん、言葉だけですぐに効果が出るものではないかもしれません。でも、「選手たちの間に浸透しているな」と感じる瞬間も確かにあります。
――それはたとえば、どんな場面でなのでしょうか?
小川 開幕直後の神宮で広島に勝った試合では、選手たちの執念を感じましたね。
――4月4日、広島相手に8対5で勝利した試合ですね。序盤は5対0でリードしていたものの、先発のハフ投手が6回表に突如乱れて、一気に5対5に追いつかれました。
小川 同点に追いつかれたけれども、選手たちはあきらめずに追加点を奪って勝利したことも大きいですが、結果以上にこの日は試合に臨む態度がそれまでとは少し違っていたことが重要だったと思います。
――具体的にはどういうことでしょうか?
小川 この前日の試合で川端(慎吾)が頭にデッドボールを食らって、試合途中に病院に運ばれました。さらにこの日は青木(宣親)もデッドボールをもらっています。こうした経緯の中で、この日の試合前には宮本慎也ヘッドコーチが投手陣に向かって、「カープには貸しがある。遠慮せずに攻めていけ!」と檄を飛ばし、みんながそれに応えました。投手陣全体に攻めていく姿勢が見られたのがこの試合でした。
――それまでには希薄だった「闘う姿勢」が感じられたということですか?
小川 そうです。投手陣だけではなく、野手陣も「絶対に負けるか!」という強い姿勢、闘う姿勢が感じられました。それはそれまでにないものでした。相手投手に内角を攻められたときにも、ベンチにいる選手が一体となって、ものすごく大きな声が出ました。こういう姿勢を、これからも大切にしていきたいと思っています。
――逆に「まだまだ執念が足りないな」と思うような場面はありましたか?
小川 悪い意味で印象に残っているのは呉、マツダスタジアムで戦ったカープとの3連戦(4月17~19日)ですね。結局、接戦をものにできずに3連敗しましたけど、3連勝してもおかしくない試合でした。それでも、こちらはミスばかり続いて、勝てるゲームをみすみす逃してしまった。「防げるミスをなくさないと試合には勝てない」という当たり前のことを痛感させられました。
――17日は4対4まで追いついたものの4対7で敗戦。翌18日は2対3、19日は延長の末、4対5で惜敗しています。昨年の優勝チームと最下位チームの差が出た試合のように感じました。この差は、大きなものなのですか? それとも、意識次第で克服できる小さな差なのでしょうか?
小川 やっぱり、大きな差なのだと思います。あの3連戦ではチャンスがたくさんありました。でも、「ここぞ」というときに点が取れないのがうちで、チャンスを確実にものにするのがカープでした。相手のミスを逃さない怖さがカープにはありました。