人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

人事のプロが提言! 早期退職・希望退職は「お金」で決めろ!

早期退職・希望退職は「お金」で決める

終わりの見えない円安と物価高。中小企業はコスト増加に悲鳴を上げ、円安倒産はさらに広がるといわれています。企業の経営が厳しくなってくると、想定しておかなくてはいけないのは、やはり「早期退職・希望退職」です。

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コロナ禍以前から始まった上場企業の「早期退職・希望退職」などの黒字リストラは、2020年、2021年と2年連続で80社を突破。東京商工リサーチによると、2022年の6月末の時点では25社にとどまっているようですが、まだまだ予断を許しません。

そこで今回は、「早期退職・希望退職」のメリット・デメリット、すぐに飛びつくべきか否かについてお伝えしたいと思います。

もし会社から早期退職・希望退職を促された場合、どう考えたらいいのでしょうか?
判断基準にすべきは、「退職の条件」です。

退職後すぐに次の仕事が見つかるとは限りません。いくらの退職金が支払われるのか。それで2年、3年は食べていけるのか。それを元手に起業や独立はできるのか。

希望退職に関しては、多くの場合、期限が決まっています。あまり迷っている時間はありません。これらを計算したうえで、迅速に決断する必要があります。

早期退職・希望退職とは?

早期退職・希望退職は、似たような制度ですが、いくつかの違いがあります。ここで早期退職・希望退職の違いについて、改めて確認しておきましょう。

早期退職とは、正式には「早期退職優遇制度」。これは従業員の自主的な退職をサポートする制度です。「選択定年制」とも呼ばれ、恒常的に運用されているので、従業員が希望すれば、自由なタイミングで退職することができます。

早期退職のメリットは、「定年の時期を選べること」「退職金の割増」「再就職支援」などの優遇措置があることです。ただし自己都合退職扱いとなることが多く、失業保険の手続きから約2ヶ月間は失業保険を受給できないなどがあり、当面の生活費を確保しておく必要があります。

一方、「希望退職」は、退職する従業員を募集する制度です。一般的には、リストラや人員整理の前段階として運用されています。

希望退職のメリットも、「退職金の割増」や「再就職支援」、あるいは「失業保険をすぐに受給できること」です。希望退職は、「会社都合退職」の扱いになるため、早期退職と比べると公的保証が手厚くなります。

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ただし、希望退職は会社との合意が必要です。応募したからといって必ず退職できるわけではありません。また、時期も限定されているため、退職後の仕事が何も決まっていなくても、退職せざるを得なくなったりすることもあります。

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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