コロナ禍前後からリストラの対象となっているのは、おもに45歳以上の中高年です。しかし40代、50代になったからといって、誰もがリストラされるわけではありません。歳を取っても会社で生き残れる人には、3つの特徴があります。
1つは、マネジメント力があること。マネジメント力には、「タスクマネジメント」と「ヒューマンマネジメント」の2つのスキルがあり、どちらも重要です。
タスクマネジメントとは、チームの目標を設定し、計画を立案し、進捗を管理し、チームの目標を達成できること。要は、組織のPDCAを回せる力です。段取りを組み、ミスなく実行し、品質をチェックし、納期を守り、より良く改善し、成果を上げる。これを組織単位で行い、最短距離で目標達成ができる。
一方、ヒューマンマネジメントとは、人材を育てること。円滑なコミュニケーション環境を作り、部下に成長できる機会を与える。人材育成では「伝える力」はもちろん、部下の話に耳を傾けることができる「聞く力」も重要です。人の話をちゃんと聞くことができ、部下からも学び、チームに参加している意識を持たせることができる。
・チームをマネジメントして目標達成ができる。
・部下や後輩を育てることができる。
当たり前のようですが、この2つの力を持っている人はリストラされません。されたとしても別の会社が喜んで採用しますから、転職して生き残れます。タスクマネジメントとヒューマンマネジメントは、どんなビジネスにおいても必要になります。当たり前のことを当たり前にできることが、会社で生き残るための条件のひとつです。
もう1つは、「専門性」を持っていること。経理でも総務でも人事でも技術職でも、一定の専門性を持っている人は強いです。部下や後輩に継承できる技能・技術を持っていることも、歳を取っても会社で生き残れる特徴のひとつです。
例えば、弊社のクライアントにソフトウェアのシステムを作っている会社があります。そこのナンバーワン・エンジニアは、71歳です。Googleマップの開発にたずさわった人で、こうした先端技術を極めている人は何歳になっても生き残れます。
営業にしても、 B to Bに長けている、B to Cは誰にも負けないなど、何かに特化した自分の強みを持っていれば、「どこに行っても通用する力」になります。企業はそういう人の肩は叩きません。たとえリストラされても、他社が必要としてくれます。
では、自身の専門性が「どこに行っても通用する力」になっているかどうかを見極めるためには、どうしたらいいのでしょうか?
ひとつの目安は、本を書けるか。自身のノウハウを1冊にまとめたビジネス書を書いたら、ニーズがあるかどうか考えてみてください。実際に本を出せるかどうかは別にしても、出版社が相手にしてくれるような専門的スキルを持っているのなら、どんな会社に行っても通用するはずです。
あるいは、自分の替わりになる人がいるか。「ちょっと経理をやってきました」とか「人事をやってきました」では、もっと若く、自分より優れている人がいたら、自分は「いらない人」になってしまいます。自身のスキルを部下や後輩に継承することも大事ですが、自分自身も何かに特化した技術・技能を持っておく必要があります。
そういう意味で危ないのは、担当部長や担当課長、副部長、次長といった、いわゆる隙間役職の人です。部長や課長ではなく、何をしているのかよくわからないけれど、年収は同程度。こういう役職についている人は、真っ先にリストラ候補になります。
もちろん重要な職務を担っている方も多くいらっしゃるので一概には言えませんが、長く働いているから担当部長や部長補佐といった役職についていても、中途半端な専門性しか持っていなかったり、マネジメント力が発揮されていない人は、リストラの最有力候補になりやすいです。なぜなら部長や課長は別にいるからです。
隙間役職であっても、何かの分野に特化した専門的スキルを持っているか。または、複数メンバーが参加するチームやプロジェクトを任され、メンバーを率いて成果を出せているか。これらがひとつの目安となります。