その前提で、転職に際しては、自身の適正な年収を知っておくことが大切です。
1つの方法として、人材紹介会社に相談するのもいいでしょう。しかし、人材紹介会社は、「転職時提示年収×●%」という成功報酬型で収益を上げているので、「高く売った方が人材紹介会社は儲かる」わけで、「年収を下げましょう」とはなかなか言わないかもしれません。
自身の適正な年収はどのくらいなのか、という水準を自ら「値踏み」できる人は信頼できます。それはビジネスパーソンとしても優秀であることをある種意味します。市場が見えている、自身の価値が見えているわけですから。
面接の際に、「今の年収はこれだけですが、自身で高いと思っています。ですので最低限これくらいであれば、ぜひ転職を考えたいです」と言う人もいます。
正しく自身を「値踏み」できている、ということにおいて、こういう方は信頼できます。
場合によっては、そういう方には最低ラインに少し上積みして、オファーを出そうかな、と考えるぐらいです。
転職するにしてもそうでないにしても、自身の適正な年収水準を把握しておくことは大切です。
「仮に転職してもこの水準は維持できるだろう」と思えることは、大きな安心感につながります。そして、それによって「いつでも今の会社を辞められる」と思って働くことは、場合によっては、「言うべきことを言うべきタイミングで上司や経営陣に言える」ことにつながるかもしれません。
つまり。あなたの「強さ」につながるのです。その結果、逆に評価が上がるかもしれません(それで評価が下がるようなら、その会社は辞めればいいのです)。
私は人事部長時代、「いつでも辞めたるで!」と思って働いていた時期がありました。
なので、社長とも喧嘩しましたし(寛大な社長に感謝しております)、相手が役員でも申し上げることは申し上げていました。
そして「辞めてもなんとかなる」という実感は、自身の安心感につながっていました。
それが。それなりの実績をあげたことの大きな要因だったと思います。
自著である「人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準」には、適正な年収を確認する指標を提示しています。
もちろん年収は地域・業種・企業規模などによって異なりますが、大まかな水準は確認できるでしょう。
そして、もし年収を上げるのならば、どのようなことが必要なのか、という指標にもなります。
これからのビジネスパーソンには、ぜひ自身の適正な年収を確認していただきたいのです。
そして、年収を目的とはせずに、本当にあなたがやりたい仕事、活躍できる環境を探すことを優先していただきたいと願っています。
次回に続く