そこでひらめいたのが『美味しいワークショップ』でした。
台湾(台北)に、資生堂の仕事で初めて訪れたのは4年前のこと。熱い熱い台湾の人々の思いに触れ、新しいプロジェクトに意気揚々、わくわくしていました。
大勢の現地の方々とガッツリ組んだ、大規模で大変なコスメティックのキャンペーンプロジェクトでしたが、仕事をしながらの楽しみのNo.1★はもちろん「食」!
台湾ならではの、ありとあらゆるものを紹介されて食べました。
見たことのない、楽しい美味しい台湾の食。とっても幸せな気持ち♥に。
日本にいる今でも、「食べたい!」といつも思えるような、大好きなお店も見つけちゃいました。
だから、ワークショップのテーマは『美味しいワークショップ』がぴったりだと思ったのです。
世界文化遺産で日本食が登録されたように、食は国を知るうえで重要な文化の一つです。そして何より、食べることは生きること! みんな、食べることは大好きでしょう?
なので皆さんの美味しい♥をテーマにします。
世界中の人に知ってもらいましょう。プレゼンしちゃいましょう。愛して、宣伝をデザインしちゃいましょう。
まず第1回目は、「LOVE♥台北」。みんなの大好きな台北の「美味しい」を僕に教えてくださーい、と。できれば、さらに発展させて学生たちが選んだローカルフードの紹介ブックみたいなものが作れたら面白いな~、と立体的なプランまで考えて大学側にプレゼン。おおいに喜んで頂き、承諾を得ました。
まず事前課題として、各チームには「台北ローカルフード」を選んでおいてもらいました。
そして当日、「なぜそのフードが好きなのか? それはどこで食べられるのか?」をプレゼンしてもらうことにしたのです。プレゼンの仕方は自由。チームによってはフードを用意してくれていて、僕も美味しく頂きました。
食べものを選び、そのフードの特徴や利点を調べて分析し、プレゼンし、さらにより深く理解してクリエイティブに楽しく発展していきます。
チームによって発展の仕方も自由で、「PRをしたいからCMをつくりたい!」でも、「お店の内装のデザインをしたい!」でも、「新しい料理メニューを提案したい!」でもOK。学生たちのアイデアに委ねました。
最終的には、そのフードから派生したクリエイションの思いやコンセプトを、各チームがポスターを制作して発表し合う流れとなりました。
どのチームもチャーミング、かつ、ちょっとシャイで個性的。
そんな学生たちをサポートしてくれている先生方は、なんかちょっとスパルタのようです(言葉がわからないから、ニュアンスがつかめない)。
言葉はわからないけど、僕は「学生たちをいい方向に向かわせたい!」と思い、常に通訳さんから僕の考えを伝えてもらいました。彼らの思いをキャッチすることに集中する毎時間、毎日。かなりハードな6日間でした。
そんな中で毎日課題を出し、チームで話し合い、ブラッシュアップしてくる学生たちの熱心さは素晴らしい。きっと徹夜もしているはず。
こんなワークショップは、日本でも経験がありませんでした。ここに来るまでは、正直「ちょっとはゆったりして台湾LIFEを満喫できるかな?」なんて思っていたのですが、甘かったです。
学生たちを教え、導いていくということは本当に大変! 脳がすごく疲れて、大学とホテルとの往復でクタクタな毎日でした。
彼らのアイデアを、より彼ららしい方向へと導くことや、クリエイションとして考え方のレベルを上げてさらに形にさせていくこと。僕がまず相手の趣旨を理解し、汲み取り、考え、言葉を選んでディレクションしていく。
通常のクリエイションのお仕事は、クライアントの目的があり、それについてどう自分で考えて形にしていくかを考えていきます。
ですが、学生たちを教え、導いていくことのほうが、僕にとってはパワー★がめちゃくちゃ必要だということに気づかされました。いい勉強になりました。
先生方の思いと学生のやりたい意思をキャッチし、柔軟に彼らの発想に合わせながらアイデアをキャッチボールしていく。難しいけど、やりがいがあってとても楽しいものでした。彼らは勤勉で素直で、何よりも可愛いらしいのです。
もちろんスキルはまだまだなのですが、若者らしい発想のキャッチーさやクリエイションしたいという勢いは面白いぐらい強い。この学校そのものが、「熱い」と感じました。