営業マンは70点主義でいい

商談の場で“絶対にやってはいけない”3つのこと

2019.04.03 公式 営業マンは70点主義でいい 第15回
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共感のステージで”絶対にやってはいけない”3つのこと

1.NOということ

いきなり、パンチのきいた禁止事項が来ましたね。
どういう意味かというと、『お客さまは神様なんだから、相手に「NO」なんて言っちゃダメですよー』。なんて、そんな意味じゃないです!

では、何に「NO」と言ってはいけないのか……?
それは、相手の「信念や価値観」についてです。
僕たちは、これらには絶対に「NO」と言ってはいけません。

なぜなら、信念や価値観というのは、昨日・今日できたものじゃないからです。相手が生きてきた中でいろんな経験や勉強、何かを実践したなかで暫定的にその人が『正しい』と感じているルールみたいなもの。だから、信念や価値観を否定するということは、単純に「相手自身」を否定するのと同じことになっちゃうわけです。こりゃマズいです。

逆の立場だとしたら、あなたもおそらく同じじゃないですか?
いきなり初対面の人に、自分の「考え」や「物事の好き嫌い」について頭ごなしに「あぁそれ違いますよ」みたいに否定されたら、「は? 何こいつ?」ってなりますよね。というわけで、相手の価値観に「NO」と言ってはいけないのです。

ちょっとまって!
「じゃぁ『絶対にこの人の考え間違っていると思う』。そんな人に会ったらどうしたらいいのでしょうか?」そう思いますよね?

答えは簡単です。それは、『去る』です。

価値観が合わなかったり、相手の信念に共感できないなら『去る』のみです。
だって、我慢して付き合ったってお互いストレスが溜まるだけ。無理に商品を売ってしまうと、後で必ず大きなトラブルになります。だから、わざわざ相手の価値観に「NO」という必要がないというわけ。

価値観が合わない人は放っておいても、営業では十分に成果が出せることは以前に計算式を使ってお話しました。なので、心配いらないです。『去る』ことを恐れないで下さい。もちろん、去るときは唐突に「はい、さよなら~」って席を立つって意味じゃないですよ。無理に追わないっていうことです。

2.自分の話に置き換えること

コレやっちゃう人、あなたの周りにいませんか? 相手がせっかく喋っているのに、『それわかる~』って共感してくれたかと思うと、いつの間にか自分の話にすり替わっちゃう人。聞いている方は「あら? いま私が喋る番だったよね?」こんな状態です。

とはいえ、相手の話に合わせて「共感」したり、「自分の体験」を話すことはすごくいいことです。なにせ、営業の最初のステージは「共感のステージ」ですからね。

ただ、共感を通り越して話題をさらってしまうことはダメってことです。あくまでも相手が話しやすいように相槌をうつ程度にすることが大事です。心配しないで下さい、あなたが喋る番は後でしっかりありますから(笑)。だからこの段階では相手に「あっ、この人わかってくれてるな~」って感じてもらうことに集中しましょう!

3.我慢できずに間(ま)を埋めること

コレも「あるある」ですよね。相手に話してもらおうと質問したりするところまでは上手くいく。でも、相手が黙ってしまうと、その沈黙に我慢できずに間を埋めてしまう。そういうときってないですか?

例えば、「○○をするときの問題って他にどんなことがありますか?」みたいな質問をしたとき。「しーん」。相手がなにもしゃべらない……。『あら? なんで喋らないの?どうしよう?』みたいに、少しでも間が空くとめちゃくちゃ焦る。

それで、我慢できずに「あっ、△△とか□□みたいなこととかもあったりしますよねぇ」って、答えを導こうとしちゃう。これって一見よさそうに思えますが、よくないんです。

その理由は2つ。1つ目は、相手が考えている時間に話をかぶせてくるとイライラされます。そしてもう1つは、話の間(ま)にビビってしまう人は、「自信がない人」や「やましいことをしようとしている人」という印象を与えちゃうんです。

だから、相手が黙って考えているときは、例えビビって心臓がバクバクしていたとしても、態度は山のようにデンッと構えて間(ま)を楽しむようにしましょう。

お互いに共通認識を持つことがミッション

まとめると、商談の最初はいきなり商品の話なんかせずに、まずは

・相手が何に悩んでいるのか?
・どんなことをしたいと考えているのか?
・どうしてその方法がいいと思っているのか?

これを相手の言葉で話してもらうこと。そして、お互いに共通認識を持つことがミッションです。

でもね、そうはいっても「なるほど、そうですか!」と始められるものでもないですよね。相手が欲しい情報を勝手に喋ってくれるならもうすでにやってるはずです。それができないから先に進まないわけです。

というわけで、最初にすべきことがわかった次は、相手が自然と自分(自社)のことを喋りたくなってしまう「質問術」について次回紹介したいと思いますのでお楽しみに!

次回に続く

 

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プロフィール

中尾隼人
中尾隼人

株式会社everride(エバーライド )
代表取締役

営業コーチング/マーケティングコンサルタント。1979年生まれ、宮城県仙台市出身。
2005年、1500人規模の上場企業に入社。
かなりの口ベタ、人見知りで営業未経験だったにもかかわらず、初年度からトップセールスとなる。与えられたマニュアルに疑問を感じ、自身の営業方法を体系化、売り込まずに商品を販売する方法として独自メソッド「人を引き寄せる手順」を確立させ、143日間連続で契約を受注し社内記録を打ち立てる。

現在は、セルフイメージでブロックがかかってしまっている人の潜在能力を引き出すためのコーチングなどをメインに、全国の営業を苦手とするスタッフを抱える企業や団体から研修依頼が殺到している。

著書

誰でも年収1000万円を実現できる〝ひとり起業術〟

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中尾隼人 /
アルファポリスビジネスの人気Web連載の書籍化! 「独立・起業に興味はあるけれ...
営業マンは70点主義でいい。

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