話しやすい人になれば人生が変わる

嫌われる人が「無自覚にやっている」ヤバい話し方・聞き方

過去の連載をまとめた村本篤信氏のビジネス書『話しやすい人になれば人生が変わる』が、大好評発売中!

「5W1H質問法」で、会話を深め、広げる

次に、質問の挟み方についてお話しします。これは、話しやすい人になるための、重要なポイントだといえるかもしれません。私個人の経験からすると、こちらの質問の仕方一つで、相手は「この人は自分の話に興味を持ってくれている」と思ってくれるようになり、相手の会話への力の入れ方も会話の密度も情報の取れ高も大きく変わります。

私が質問の技術を身につけたのは、ライターの仕事を始めてからです。取材相手の中には、口数が多い人もいれば少ない人もいます。口数が少ない人の場合、こちらが用意していった質問に対して、一言二言しか答えが返ってこないこともしばしばあり、それだけではとても原稿にはなりません。そうなると、あの手この手で話を引き出し、内容を膨らませる必要があります。

質問をするための基本は、相手の話を集中してきちんと聞くことです。最初から過不足なく完璧に話せる人はほとんどいないので、必ず疑問に思うことが一つや二つは出てきます。「いや、自分は人の話を聞いていて、疑問を持ったことはあまりない」という人は、相手の話に対し、常に5W1Hを投げかけるようにしましょう。
ご存じの方も多いと思いますが、5W1Hとは、

● When(いつ)
● Where(どこで)
● Who(誰が)
● What(何を)
● Why(なぜ)
● How(どのように)

といった英単語の頭文字を取ったものです。
たとえば、ある人が「前に、大きな魚を釣ったことがある」と話していたとします。その場合、Whoが話し手自身だということだけはわかっていますが、それ以外の4W1Hについて、話を聞きながら、あるいは話をひと通り聞いたあとで質問します。

5W1Hはこう使う

まず、When。「前」とは、いったいいつなのかを明らかにしていきましょう。子どもの頃なのか、学生時代なのか、社会人になってからなのか、比較的最近のことなのか。話の中に具体的な時期が出てこなかった場合は、ぜひ「その魚を釣ったのは、何年くらい前ですか?」と聞いてみましょう。
その質問への答え自体は「子どもの頃」というシンプルなものかもしれませんが、そうなると今度は「子どもの頃から釣りが趣味なのか」「今もよく釣りに行くのか」といった疑問がうまれます。
そこで質問を重ねると、もしかしたら、「子どもの頃から釣りが趣味で、週末ごとに海や川に出かけていたけれど、最近はあまり行っていない」といった話が出てくるかもしれませんし、さらに「釣りが好きになったきっかけは何か」「大人になってから釣りをやめた理由は何か」といった疑問もうまれるでしょう。

同様に、大きな魚を釣ったのが海なのか、川なのか、どの地域なのか(Where)、その魚の大きさや名前、形状(What)、なぜ釣りに行ったのか(Why)、どうやってその釣り場所へ行ったのか、どのような釣り竿や餌を使ったのか(How)など、尋ねるべきことは無限に出てきます。

もっとも、話せる時間が限られているときに細かい質問をしすぎると、相手をイライラさせたり、話が脇道にそれ、大事な情報を取り逃したりするかもしれません。ですから、常に本当に訊くべきことは何かを判断する必要があります。ただ、質問という小石をちょっと投げこむだけで、思いがけない話を聞けることはよくありますし、会話の中に適切な質問を挟むことで、相手はあなたを話しやすい人だと感じるでしょう。

村本篤信『話しやすい人になれば人生が変わる』書籍の詳細はこちら

ご感想はこちら

プロフィール

村本篤信
村本篤信

1972年大阪府生まれ。都立国立高校、一橋大学社会学部卒業。大日本印刷に入社後、フリーのライター、編集者に転身。 『3000円投資生活』シリーズ(アスコム/横山光昭)をはじめ、累計250万部以上 の書籍を手がけたほか、取材記事、社史などのライティングを行い、2021年には『ロジカルメモ』(アスコム)を刊行。 2012年に「テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」優秀賞を受賞して以降は、ドラマや舞台の脚本も執筆。 一方で、90年代よりホラー系ドラァグクイーン「エスムラルダ」として、各種イベント、メディア、舞台公演などに出演し、2018年からは及川眠子・中崎英也のプロデュースにより、ディーヴァ・ユニット「八方不美人」を結成。エスムラルダ名義でのコラムや書籍のライティングも行っている。

著書

話しやすい人になれば人生が変わる

話しやすい人になれば人生が変わる

村本篤信 /
話しやすい人になれば、人づきあいも、仕事も、初対面も、出会いも、家族もぜん...
出版をご希望の方へ

公式連載