新シーズンに臨むにあたり、監督としてある程度の「シーズンプラン」は作りますが、当然プランどおりにならないことがほとんどです。ただ、ひとつ強く願うのが、足の速い選手がひとり外野に入ることですね。たとえば比屋根(渉)や上田(剛)が使えるときは、試合の運びをイメージしやすい。「センターが守れ、走れて、かつ1番を打てる」ような選手がいると、採れる戦術の幅がぐっと広がるんです。そういう選手の台頭を、ぜひ期待したいですね。
さて、コーチ陣や選手にばかりあれこれ求めてもいけません。私自身も、成長していく必要があります。私が克服すべき課題は「妥協しないこと」だと思っています。これは誤解してほしくないのですが、昨シーズンは「目の前の試合に勝つ」という命題を追いかけると同時に、「選手の将来的な成長」にも意識を向けていました。たとえばある試合の中で、「とにかくがむしゃらに勝ちにいく」ことと「(目の前の勝ちよりも)若手を起用して経験を積ませ、成長してもらう」ことを天秤にかけ、後者に重きを置いた判断を下したことがありました。監督として、「現在」はもちろん、「将来」も勝てるチームに育てるべきだとの思いからでした。
しかし、将来に比重を寄せた結果、現在の勝利を逃してしまっては本末転倒です。プロとして、「今」結果を出すことが求められるわけですから。考えてみれば、監督1年目の2015年は「とにかく1試合1試合勝つ」ことだけに意識を向けていました。その積み重ねとして優勝にたどり着いたのだと思います。
2017年は初心に戻って、今いちど、シビアに「目の前の勝ちにこだわり抜く」スタンスでいくつもりです。チームの1勝を最優先し、妥協のない采配を徹底する――それが監督として、私がチャレンジすべきポイントだと考えていますね。
取材協力:高森勇旗