亀山敬司氏と岡本吉起氏のアルファポリス対談の後半。和やかなムードで進む中、働き方について「亀山さんとは違う」と切り込んだ岡本吉起氏。二人の考える楽しい未来の作り方、エロとVRの話も出てくるアルファポリス特別対談。後半戦です。(前編はこちらから)
(写真/今枝侑哉 構成・文/沖中幸太郎 取材場所/銀座奥田)
岡本吉起氏(以下、岡本):僕は会社を育てたいという気持ちはないんです。もちろん一緒にやって来た仲間には感謝しているから、それこそ全クリ出来るぐらいのお金は渡してあるんですけど、自分はもうもっと先の社会貢献をしたい。自分たちのやることで、社会が明るく楽しくなる。
亀山敬司氏(以下、亀山):確かにお金儲けは好きだし楽しくやっているけど、結果社会貢献になれば良いよねとは思っていて……でもそこを一番に目指しているわけじゃないから、岡本さんに「違う」って言われるんだろうなー(笑)
岡本:遠い国の出来事、例えば発展途上国に学校建てたり、生活の面倒見たりに興味はない?
亀山:若い頃寄付とかしても、いまいち実感涌かなかったし。イマイチ喜ばれたのかどうかわからない。突き詰めたらさ、結局は身近なやつにモテたいのよ俺。みんな自分が経済的に豊かになると、次は身の回りの人に幸せになってもらいたいじゃない。そのうち周りも家族が出来て、そうやってどんどん幸せが広がれば良い。で、亀山さんいい人ねって(笑) 自己満足なんだよな。良いか悪いかはわかんないけど、愛し方は色々だよね。さらっとしていたい部分もある。
岡本:自分の愛し方は、一緒に同じ釜の飯を食って、なんなら草刈りも一緒にやって、そういう泥臭いとこは好きですね。
亀山:でも面白いのは、そういう泥臭い集団が、割とドライなIT系会社組織のプロセスを経て、『モンスト』みたいなゲームを生み出せるってとこだよね。プロ集団が集まって、一個の作品を作ったら解散!みたいな。
岡本:明日仕事があるかはわからない世界ですからね。良い仕事すれば次のオファーがあるし。『モンスト』のときなんて、開発からリリースまでの1年間、みんな一律15万円の報酬でしたから。その代わり、事前にロイヤリティを決めていたから、今はみんな……億越えです。
亀山:ひとりひとりの独立精神は身に付くよね。みんなやる気のあるクリエイターは、俺か岡本さんのところに集まろう(笑)
岡本:でも朝来ないやつは勘弁して欲しい。各自の裁量で途中抜けたり、昼寝するのは問題ないんです。それぞれの才能の使い方もあるし。だけど、朝来ることは才能じゃなくて、努力で出来ること。気持ちは前のめりで100%なやつじゃないと嫌ですね。
亀山:俺は、会って面白ければ一緒に仕事しようかという感じ。どっかで判断する基準はあると思うんだけど、よくわかんない。ただ、最近は若い奴らに任せている。
岡本:若い奴らに任せてしまうと、自分の言うことを聞くYESマンを集めがちになりません? 馬力のないつまらないチームが出来上がってしまう恐れもあって。僕は「自分を超えるやつ」を採ったら、評価するって言っています。そうしたらつぶしあわない。
亀山:岡本さんのとこみたいに、クリエイターがクリエイターを育てる場合は、そのやり方が有効なんだろうね。ウチはマネージャー、商売人を育てているから。年功序列だろうが、インセンティブをあげようが、それぞれの育て方のキャラがあって、それでいいと思っている。動物園みたいに組織の中に、色んなキャラの部隊があって、ボコボコした感じがあっても良いと思っている。「はいっ」て言うやつを集めたいわけではないから、それぞれの長が納得して進んでいける形。
岡本:納得感、ハラオチ感は、僕もよく周りの仲間に言っています。それで言うと僕は、組織の中の毒まんじゅうですね。劇薬。たとえばゲームの売れ行きを左右するここぞという時――僕は「関ヶ原」といっているんですけど、そういう時は相手が上の立場でも、飛びかかってしまいますね。本当にハラオチできるまで。
亀山:俺はそういう岡本さんみたいなオラオラ系を、なだめる役(笑)