日本には、滅私奉公(めっしほうこう)という言葉があります。
自分はどうなってもいいから会社をよくしたい、みんなを幸せにしたい、という無私の気持ちが、人を動かすのだと思うのです。
そして、それがやがて大きな力になる。自分を殺す、という意味ではありません。
自分の功績が認めてもらえないなら、自分が得をしないなら、頑張れないという人がいます。どうしても、何か見返りを求めてしまう。
しかし、自分のことはいったん置いて、チームや会社のこと、ひいては社会全体の幸せを考えるようになると、本当にいろいろなことができるようになるのです。
自分がやらなければいけないことが、分かるようになってくるのです。
昔から、「陰徳を積む」という言葉があります。
人知れず、世のため人のために善い行いをしていくこと、という意味です。
例えば、オフィスに落ちているゴミをそっと拾ってゴミ箱に捨てたり、トイレの洗面所が汚れていたら黙って拭く人がいます。人が見ていようがいまいが、人知れず善い行いをする人です。こうした自然動作、基本的動作は日常の行動に必ず出ていると、私は思っています。
こういう陰徳を積んでいることを、やはり人は見ているものです。
だから、リーダーになっても、「あの人についていきたい」と思われたりするのです。
こういう人たちは、とても謙虚なので目立たず、歴史に名を刻んでいないかもしれません。もっと目立つ、声の大きい人たちのほうが、有名になっているかもしれません。
しかし、だからこそ価値があると思うのです。
派手で目立つ人ばかりが功績者なのではありません。そして、成功者なのでもない。
知られざる功績者は、世の中にはたくさんいるのです。
成功したときは窓の外を見て、まわりのおかげだと感謝する。
失敗したときは、鏡の中の自分を見て、謙虚に自分を反省する。
たとえ自分の功績にならずともコツコツと努力を続けていると、きっとどんな大きなことでも達成することができるでしょう。
さて、ここで第7回目の課題です。
「あなたは自分以外の幸せのために、どんな行動をとりますか?」です。