キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です!
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独学で資格を取得を目指す――多くの人がそれにチャレンジしますが、そのほとんどは失敗してしまいます。なぜ独学は失敗してしまうのか。それについて詳しく触れていく前に、少しだけ私について書かせてください。
私は、2013年に司法書士試験、2014年に公認会計士試験に合格しました。どちらも正社員としてフルタイムで働きながら勉強し、専門学校には行きませんでした。大卒資格は持っていましたが、2015年にはセンター試験を受けなおし、東北大学に再入学しました。
どれも独学です。受験したスケジュールはこうでした。
[2012年 7月] 司法書士試験 × 不合格
[2013年 7月] 司法書士試験 〇 合格
[2013年 12月] 公認会計士短答式試験 × 不合格
[2014年 5月] 公認会計士短答式試験 〇 合格
[2014年 8月] 公認会計士論文式試験 〇 合格
[2015年 1月] センター試験
[2015年 2月] 東北大学二次試験 〇 合格
振り返るとなかなか無理のあるスケジュールです。でも、あまり大変だと思うこともなく、合格する確信も早い段階からありました。そして実際に、難関とされる資格を取得し、働きながら大学に入学することができました。
私が特別な人間かというと、もちろんそんなことはありません。子どものころから家でほとんど勉強しませんし、当たり前ですが、天才でもありません。育った青森県八戸市は塾に行く習慣が都会ほどないので、学習塾に通った経験もないです。父は中学校の教師、母は専業主婦という平凡な家庭で育ちました。
高校では、小テストの成績が毎回のように赤点で、追試の常連が集まった「追試四天王」の一人でした。数学の試験(200点満点)で6点をとったことも2回あります。
大学では、必修のドイツ語の単位がとれず、6年間(2回留年しました)連続で1年生と一緒に授業を受けました。最後は教授にも覚えられ、「今年の教科書は難しいけど大丈夫?」と心配されるほどでした。
私がいかに平凡な人間であるかについて、少し違う話をしましょう。
毎年1月、私は「今年こそやせよう」と目標をたてています。そして、何度も挫折しています。昨年も「朝昼を抜いて1日1食にする」「昼を多めに食べて夜を軽めにする」「昼食をオートミールのダイエット食に代える」などの手法を試してみました。1年以上たったいまどうなっているかというと、体重は1キロも減っていません。もう5年ほど連続で失敗しています。
ずっと太っているわけではありません。私は20歳のころから格闘技をしており、現在もブラジリアン柔術のインストラクターをしています。2023年で44歳になりました。最後に試合に出たのは2010年です。格闘技選手として現役時代は、減量をすることもありました。ひと月ほど前から減量を始め、だいたい5キロほど落としていました。スケジュールをたてて減らしていくのでつらいと思ったことはないです。
いままで落とした最高記録は3日で10キロです。海外旅行から帰ってきてすぐ、急に試合に出ることになったためです。起きてすぐサウナスーツを着て走り、飲まず食わずのまま働いて、夜はそのまま練習に行きました。振り返るととんでもなく大変そうですが、やはりつらかった記憶はありません。なお、無茶な減量で体が動かず、試合はあっさり負けました。
10年経ち、簡単だった減量がまったくできなくなってしまいました。私は変わってしまったのでしょうか――そんなことはありません。いまも昔も、私は意志が弱い人間です。
もちろんダイエットだけでなく、勉強で挫折した経験があります。
2010年ごろ、ベトナム語を覚えようとテキストを買いましたが、3か月しか続きませんでした。公認会計士試験にも挫折しています。2007年、会社を辞めて専門学校に入ったものの、3か月でついていけなくなりました。2016年には不動産鑑定士試験を受け、合格できませんでした。結果は不合格者の中ではA判定であと一歩だったものの、その後は受験していません。
回り道をして私自身の失敗談を書いてきましたが、ここでお伝えしたかったのは、同じ人間であっても、うまくいったり、いかなかったりするということです。この違いはいったい何なのでしょうか。
じつは、減量にヒントがあります。成功した10年前と、まったく成功しない現在で、大きく異なるポイントがあるのです。