しかし、失敗を受け入れるだけでは片手落ちです。
失敗からさらに前に進むためのエネルギーが必要です。
そのためには、「いくつかの失敗を乗り越えたうえで、成功するイメージ」を持つことが効果的です。
すなわち、あなたのサクセスストーリーを描くということです。
あなたは、目指す理想の状態までの道のりを、どのようにイメージするでしょうか? 何事もなく、淡々と一直線に駆け上っていくでしょうか?
実際はそんなことはありませんし、そうなったらつまらないのではないでしょうか。
例えば、映画や小説のストーリーを考えてみてください。
もし、映画の主人公が順風満帆に成功して何の問題もなければ、見ていて面白くないはずです。うまく行きそうになってはトラブルに巻き込まれ、失敗に遭遇したり、絶体絶命の危機に陥ったりして、見ていてハラハラするような状況に追い込まれなければ、見る気はしません。
そして、最後には逆転して成功し、ハッピーエンドになってスカッとするわけです。
あなたも、そのようなサクセスストーリーをイメージしてください。
紆余曲折があって、いくつか失敗もあって、なんとか成功するというイメージです。
例えば、大口の受注をしたものの、商品にミスがあって返品の山で借金が膨れ上がったけれど、最終的に新商品をつくって復活する、みたいなストーリーです。
実際、現実のビジネスではこのようなトラブルの連続です。
こういった問題を乗り越えた人だけが、目指していた地点にまで到達できます。
ですので、起こりうる失敗への免疫をつくるために、こうやって最初からさまざまなトラブルを想定しておくといいわけです。
そして、それを既に体験済みのように、面白おかしく語ってみると、さらに効果的です。
これはセミナーではよくやるのですが、お互いに自分のサクセスストーリーを面白おかしく語ってもらいます。
「こんな失敗をして、あんな失敗をして」と、相手もワクワクするように聞いてくれます。
そうやって話してみると、いろいろあるけど最後には成功するんだから、小さな失敗は笑い飛ばしながらやっていこうと思えるようになります。
実際、昔の失敗でも、話せないこともあれば、笑って話せることもあると思います。
笑って話せる失敗というのは、すでに心の中で克服しているということです。
逆転の発想で、自分の心に「克服した」と刷り込ませるには、笑いながら起こりうるトラブルを話せばいいということです。予防接種みたいなものです。
そして、もしイメージできるのであれば、そのようなサクセスストーリーを、何年後かにテレビ番組に出て語っている自分を想像してみて下さい。
「あのときは本当に大変でした。こんな問題があって、こんなトラブルがあって」と、テレビで苦労話を語っているあなたです。当然、問題を解決しているから、面白おかしく話せるわけです。
そして、うまくいかないことがあったときには、そのたびにこのイメージを思い出してください。
何か問題が起こったときは、
「そうか、このトラブルを乗り越えた話をテレビで語るんだ」
と思っただけで、気分が切り替わるのではないでしょうか。
そして、どうせなら、後から面白おかしく話すために、詳しく状況を記録してみたり、写真を残しておいてもいいかもしれません。
ビジネスは「一勝九敗」です。失敗の連続です。
失敗の方が多いのですから、結果にいちいち囚われている暇は起業家にはありません。
どうやって乗り越えるか、どう打開するのか、どんな施策を打つのか、前向きに考え続け、行動し続けるしかありません。
起業家とは、果敢に挑戦し続ける人です。
失敗したのではなく、今まさに挑戦しているのです。
これからもたくさんの困難が待っていますし、思いもよらない失敗に見舞われることもあるでしょう。しかし、問題が起こるたびにあなたは成長していきます。挑戦し続けるかぎり、いくらでも大きくなれます。そして、挑戦しているときにこそ、最高の充実感を得ることができます。
こうやって自分の夢に向かって挑戦し続けていること自体が、まさに成功と言えるのではないでしょうか。起業を目指す人が本当に得たいものは、挑戦している充実感と、果敢に挑戦している自分への誇りなのだと思います。お金や地位や名誉は、おまけでしかありません。
人は必ず歳をとるし、誰でも最後は死にます。
あの世にお金を持っていくことはできません。
でも、「あのときは本当にひどかった」と笑いながら話せる思い出は、あなたにとって大切な宝物になるに違いありません。
次回に続く