考えすぎない

苦手な人や嫌いな人への悪感情はどうやってやり過ごすべきか

2019.04.24 公式 考えすぎない 第44回
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仕事でもプライベートでも、私たち日本人はその勤勉さゆえなのかつい考えすぎてしまうことが多いように思います。しかしそうした日々の悩みは、ほとんどが“考えすぎ”を原因としています。この“考えすぎるクセ”を改善すれば、もっとラクに生きることができるはず……この連載では、「考えすぎずに生き、もっと幸せになる」ための方法を紹介していきます。 

感情に流されずに、切り替える

自分にとって大事な問題を考えるのはいいことです。でも必要以上に考え続けてしまうから〝考えすぎ〟になってしまうのです。考え続けてしまうのは「感情の問題」が大きいでしょう。悪感情が強いうちはどうしてもその原因について考えてしまいます。

また、自分が抱えている問題をつい思い出してしまうのは「気分の問題」が大きいのです。

考えすぎて悩ましい気もちになると、多かれ少なかれ尾を引きます。それが悪い気分となって残ってしまいます。気分が悪いと無意識のうちに、その原因探しをしてしまいます。そこで思いつくのが少し前にあった悪い出来事や自分が抱えている問題です。その原因をつくったと思われるイヤな相手のことを思い出してしまうこともあります。それで、考えたくなくても、つい考えてしまうのです。そのまま考え続けることで〝考えすぎ〟になってしまいます。

また、悪感情が強い時や気分が悪い時には、物事を悪く考えがちです。あった出来事を悪く考えたり、先のことを悲観的に考えたり、人のことを悪く考えたり、自分のことを悪く考えたり、世の中を悪く考えたり、自分の環境を悪く考えたり、運(命)が悪いと考えたり……。

それによって、悪感情をさらに強くし、悪循環になってしまうことがあります。

感情の問題

「感情の問題だから」「性格の問題だから」などと、感情をコントロールすることを簡単にあきらめてしまうのは自分のためによくありません。

悪感情が強くなるのはそういう考え方をしているから、物事を悪いように考えているから。悪感情が続くのはそういう考え方を繰り返しているから。このように考えられるといいのです。

そして、考え方を変えるように心がければ、「感情はある程度コントロールできる」と考えることです。

物事の受けとめ方は人によって違います。同じ悪いことがあっても、大きく動揺してしまう人もいれば、平然としていられる人もいます。受けとめ方によって、感情の発生が違うのです。

イヤなことがあった時や問題が発覚した時に、「どうして」「信じられない」「許せない」のような受けとめ方ではなく、「こういうこともある」「こういう時もある」「こんな人もいる」「この人はこういう人」「しかたがない」などと考えれば、悪感情は小さくてすむのです。

また、自分の悪感情に反応して、つい原因探しをしてしまうから、自分の頭の中で問題が大きくなってしまうのです。

過剰反応しないためには、まず、自分の悪感情に驚かないことです。「こういう気もちになるのも今はしかたがない」と自分の悪感情を受け入れることができれば、少しは悪感情がおさまるでしょう。

そして、「こういう気もちになるのは、自分がそういう考え方をしているから」「この気もちがおさまらないのは、自分が考え続けているから」と考えられるといいのです。

悪感情がある程度鎮まったら、心を他のことに切り替えればいいのです。他のことを考えたり、何かを始めたりすればいいのです。それが気分よくなれることなら、なおいいでしょう。

気分の問題

考えすぎてしまったのは、悪い出来事があったから、問題があるから、とふつうは考えます。もちろん、それが原因の一つであることは間違いありません。

もう一つの原因は、「気分が悪かったから」です。つまり、「(悪い)気分のせいで考えてしまった」と考えることもできるのです。

そこで、「このことを、つい考えてしまったのは気分のせい」「このことをこんなふうに悪く考えてしまうのは気分のせい」などと考えられるといいのです。

悪い気分が原因とわかれば、続けて「気分を変えよう」と考えればいいのです。

イヤなことがあって気分が悪くなったら、早めに気分転換を心がけるのがいちばんです。

気分転換の方法はたくさんあるはずです。自分の得意な気分転換法をいくつかもっていれば、様々なケースで役に立つでしょう。

気分がいい時には、イヤなことは思い出さないものです。

うまく気分転換をし、気分よく生活できるように心がけることは、イヤなことをつい思い出して考えてしまうのを予防することにもなります。

悪い気分に流されて悪い考えを重ねると、さらに気分を悪くさせるだけでなく、その問題を心の中で大きくしてしまいます。悪い考えに基づいた行動で現実問題を悪化させてしまうことにもなりかねません。

悪い気分に流されて、ついしてしまう悪い考えを長い時間続けて〝考えすぎ〟ないように、心を切り替えられるようになれば、様々な問題を今よりも小さくすることができるでしょう。


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プロフィール

本多時生
本多時生

1956年7月、神奈川県生まれ。電気通信大学卒業。ソフト開発の仕事の傍ら、20代後半より「人の幸せに関する研究」をライフワークとしてはじめ、1996年には「幸せのホームページ」を開設、現在までほぼ毎日更新を続けている。

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